天台宗女性僧侶が性被害告発
【全県】 四国の天台宗寺院で14年間にわたり性暴力を受けたとして、同宗の尼僧・叡敦(えいちょう)さん(50代)=法名=は、加害したとされるA男性住職(60代)と何回もA住職の性暴力などを訴えているのに取り合ってくれなかった叡敦さんの親戚でA住職の師僧でもあるB大僧正(80代)の2人の僧籍剥奪の懲戒処分を天台宗に求めている問題で、叡敦さんは6月7日に会見を開き第三者委員会による調査を求める上申書を天台宗の宗務総長宛に提出したことを明らかにしたが、天台宗側にはその後も動きが見られない。(石川政実)
調査役には性被害の研修を求め
聞き取りに心理療法家の立ち会いも
同日は、天台宗調査役から叡敦さんへの2度目の聞き取り調査が大津市の同宗務庁で行われた。叡敦さんの証言を裏付ける資料としての録音テープや、A住職が叡敦さんに二度と性暴力はしないと誓った念書も追加提出した。
同日、叡敦さんは京都市内で記者会見を開き、これまでの聞き取りや面談で、調査役から2次加害を受けたとして、宗務総長宛に、第三者の専門家による調査を行うよう求めた上申書を出したことを明らかにした。
上申書は、これまでの聞き取りや面談で、調査役が性被害者の叡敦さんへの配慮を欠いた発言を行ったり、「これだけは言っておく」といった威圧的な態度で叡敦さんの証言を疑ったりしたことへの抗議だった。
叡敦さんは「調査役の一人はA住職を知っていると話していたが、聞き取りや面会(2回聞き取り、1回面会)を受けるたびに加害者側に偏った調査だと感じた。調査役と話した後は、いつも体調が悪化している」と話した。
叡敦さんの代理人の佐藤倫子弁護士は「(調査対象の)大僧正は大変な力を持っており、調査役をしている宗務庁の内部部局の人では正しい判断をするのは困難ではないかと受け止めて、第三者委員会の設置を申し入れした」としている。
第三者委設置の要求について、天台宗務庁では宗規にのっとるという立場にあり、今後の調査に影響が及ぶ可能性もあってか、いまだ態度を明らかにしていない。
一方、3回目の聞き取り調査は当初、7月11日に岡山県で予定されていたが、叡敦さんの主治医からドクターストップがかかり現在も中止になったままだ。
叡敦さん側では、二次被害によるこれ以上の病状悪化を防ぐために、主治医の意見に基づき▽調査役は性暴力に精通した心理療法家から研修を受ける▽聞き取り調査に心理療法家が立ち会う▽叡敦さんの体調を踏まえた日程調整を行う―ことを天台宗に要請し、天台宗側もこれを了承したという。
佐藤弁護士は「3回目の聞き取り調査はいまのところ10月10日を予定している」と話している。
他宗の尼僧から攻撃的な電話
「告発は迷惑。取り下げるべき」
叡敦さんは性暴力を受けたとしてA住職と、誠実な対応を怠ったB大僧正の僧籍剥奪を求める懲戒審理を申し立てているが、天台宗側の聞き取り調査でストレスに見舞われている。
さらに同じ他宗の尼僧から「こんな(申し立てをする)ことは止めるべき。他宗の尼僧として迷惑だ」とする攻撃的な電話などがあり、2次被害にさらされる事態も招いている。
具体的には、2月に一度、4月にも一度、同様の内容の電話2件(1件は非通知)があり、4月初旬には叡敦さんと尼僧との面談も行われた。
この時の様子について叡敦さんは「尼僧から『コロナで宗教離れが始まっているのに、こんなことをされて世界中の尼僧が非常に迷惑している。弁護士を通じて、取り下げて和解すべきだ。和解をするにあたっては、(天台宗に)どこかお寺を与えてもらって話を収めるようにしなさい』と言われた」と無念の表情だった。
佐藤弁護士は「叡敦さんは自分が(告発を)やっていることがはたしていいことなのか、ほかの人に迷惑をかけているのではないかとすごく悩んで、体調を崩したことがあった」と言う。
それでも叡敦さんは「宗教の世界のなかで、このような被害にあっている人のためにも、また宗教を広めていくためにも、やめるわけにはいかない」と会見でキッパリと答えていた。







