発がん性フッ素化合物PFAS(ピーファス)
緊急寄稿
県内の水道水と河川水のPFAS汚染
日本環境学会元会長・元大阪市立大学大学院教授 畑 明郎
【全県】 日本でも問題となっている発がん性物質の有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」。守山市の水道水からも米国基準の約4倍のPFASが検出され影響が心配される中、日本環境学会元会長の畑明郎氏に県内の水道水と河川水のPFAS汚染について寄稿してもらった。
【PFASとは何か?】
PFASとは、有機フッ素化合物の略称であり、分解しにくいので、永遠の化学物質と言われる。自然界に存在せず、1万種以上存在し、PFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)が最も広く使用された。
PFASは、熱、水、油、薬品などへの耐性が高く、泡消火剤、金属メッキ、研磨剤や洗浄剤、コーティング剤、電子機器や半導体の製造、難燃剤など幅広く利用された。しかし、環境残留性により世界各地で深刻な地下水や土壌汚染が発生しており、発がん性などの健康影響が懸念されている。
【県内の水道水と河川水のPFAS調査結果】
表は、2023年度の県内の水道水のPFAS(PFOS+PFOA)検査結果で、それによると、国の暫定指針値50ナノグラム/リットルは下回るが、守山市播磨田30ナノグラム/リットル、栗東市観音寺23ナノグラム/リットル、近江八幡市南部(安土)19ナノグラム/リットル、野洲市比江15ナノグラム/リットル、甲賀市朝宮11ナノグラム/リットルなどの5市が、米国の飲料水基準値8ナノグラム/リットル(PFOS、PFOAそれぞれ4ナノグラム/リットル)を超えた地点であり、大半は地下水源である。琵琶湖を水源とする県企業庁や大津市は最高7ナノグラム/リットルであった。なお、県内市町の水道事業所でPFAS検査を実施しているのは14事業所にとどまり、自衛隊饗庭野演習場がある高島市、米原市、多賀町、愛知郡など県北部の自治体は、24年度から水道水調査を実施する。
一方、県と国土交通省が共同で実施した県内の23年度の河川水と琵琶湖のPFAS(PFOS+PFOA)検査結果では、河川水は、守山川30ナノグラム/リットル、和邇川27ナノグラム/リットル、十禅寺川25ナノグラム/リットル、柳川20ナノグラム/リットル、家棟川19ナノグラム/リットルなどが高い。
また、琵琶湖北湖のPFAS濃度は4~5ナノグラム/リットルであるが、南湖のPFAS濃度は5~10ナノグラム/リットルもあり、北湖より南湖の方が汚染されていると言え、一部は米国飲料水基準値8ナノグラム/リットルを超える。
【高濃度を示す水道水源と河川水の汚染源】
高い濃度を示した水道水源や河川水について、周辺の汚染源と疑われるものを考察する。
・写真の守山市播磨田水源地付近には、大手化学工場などがあり、汚染源の可能性があり得る。ここは以前、有機塩素化合物のトリクロロエチレンの地下水汚染があった地点であり、汚染源は同一と考えられる。
・栗東市観音寺水源地付近は、金勝山であり、汚染源は不明である。
・近江八幡市南部(安土)水源は、以前に八日市市周辺の地下水汚染でトリクロロエチレンが検出された地点であり、名神八日市インター付近の工場群が汚染源と考えられる。
・野洲市比江水源地は、2001年に四塩化炭素(CT)汚染を起こしており、汚染源は農薬製造工場だった。その後、この工場は閉鎖されたが、付近に大手半導体工場などがあり、それらの影響が考えられる。
・甲賀市朝宮は、野洲川の青土ダムを水源としており、汚染源は不明である。
・守山川流域には、大手化学工場などがあり、汚染源の可能性もある。
・和邇川流域には、多数の産廃処分場や建設残土捨場が存在し、これらが汚染源と考えられる。
・十禅寺川流域には、大手電機工場などがあり、汚染源の可能性が考えられる。
・柳川流域に自衛隊大津駐屯地があり、これが主な汚染源の可能性もあり得る。
・家棟川流域には、大手半導体工場や大手化学工場などがあり、汚染源の可能性がある。
以上のように、重要なのは、汚染源の特定であり、県内には、県や大津市の調べで少なくとも13社あるPFAS関連企業や、自衛隊基地、産廃処分場、建設残土捨場、電機・電子工場なども汚染源となるので、こうした場所をリストアップして、調査と対策を行うことが必要である。









