感染の不安、緊張続く
【全県】 新型コロナの感染拡大に伴い、全国各地の障害福祉施設で集団感染が相次いだ。「もし自分や身近で感染が出たらと、毎日緊張が続いている」と、障害のある人が働く事業所などでつくる連絡会「きょうされん滋賀支部」政策・調査委員長の寺川登氏(59)=社会福祉法人あゆみ福祉会理事長=は、薄氷を踏むような運営を語る。コロナの第2波にどう備えるべきか。障害福祉の現場から課題を探った。 (高山周治)
発熱でもPCR受けられず症状不明
集団感染ならスタッフ不足の懸念
3月下旬、寺川氏は、テレビニュースを目にして焦りを感じた。感染者が100人超に膨れ上がることになる千葉県の障害福祉施設の集団感染が報じられていた。
「障害福祉施設は、利用者への支援など密にならざるを得ないため集団感染のリスクが高く、他人ごとではない」。
感染防止の基本は、外部からウイルスを持ち込まない「水際対策」だが、これだけでは万全とはいえない。さらにマスク・消毒液の不足が続き、利用者の家族が感染リスクに敏感になった。
県内会員事業所へのアンケート(4月21―30日実施)によると、共同作業所を休んだ利用者は、回答のあった37事業所(全体の36%)のうち、26事業所の139人(定員528人)に上った。
これについて寺川氏は、「障害のある人に生活リズムの変化が生じれば体調を崩すことが多い。作業所を休めば家族の負担増などの影響も大きかったはず」と懸念する。
感染の有無を確かめるPCR検査数の不足は、現場の不安を募らせた。アンケートでは、発熱が続いて医師からPCRの指示を受けても指定病院で断られたり、相談センターに何度電話してもつながらず、症状が分からないまま運営を続けた悲痛な声が寄せられた。
これに対して県内で可能なPCR検査数は5月中旬まで1日75検体にとどまった。その後は拡充され、6月25日現在で1日166検体(目標は175検体)となった。滋賀県の6月までの検査数は2府4県で最も少ない。
さらに課題に上るのは、治療体制の整備だ。「入所施設やグループホームで療養する場合、一法人だけではスタッフが不足する。このため他法人と連携したり、県などの自治体からの応援が必要」と指摘する。
これについて県は、「在宅の障害のある人が入院する場合、ケアするスタッフを派遣する」とする。
一方、グループホームや入所施設で感染者が発生した場合、「状況に応じてケース・バイ・ケースだ。少なければ病院に入院し、多ければ施設内に待機して療養。ただ、人的支援は今後の課題」という。
なお、きょうされん滋賀支部は5月、要望書を県に提出し、▽PCR検査と治療体制の確立、▽感染が疑われた時の相談先など分かりやすい情報提供、▽生産活動の縮小に伴う利用者工賃の補てん―などを求めた。
寺川氏は、「国や自治体は、障害福祉の危険度の認識を高めて対応してほしい」と訴えている。







