湖南市の野洲川流域周辺
◇湖南
湖南市内の野洲川沿い一帯でイノシシが頻繁に出没し、この3年間で農業被害が急増している。岩根山から樹林化した野洲川へ移動し、周辺地域で被害を拡大させているとみられる。市の担当課は「川沿いに柵をしても、設置していない箇所から侵入するなど、いたちごっこが続いている」と嘆いている。(高山周治)
樹林化した河川を移動、農業被害拡大
谷畑市長「管理者の県は適正に樹木伐採を」
野洲川沿いの同市正福寺在住の男性は4月中旬の早朝、ウォーキングの途中で、イノシシが河川敷の繁みから姿を現すのを目撃した。
幸いなことに男性は橋上にいた。「もし至近距離で出くわしていればどうなっていたかと思うとぞっとする」と肩をすくめた。
同市正福寺は市役所から北約1キロと、野洲川を挟んで市街地に隣接する地区で、背後に岩根山を抱える。以前は山すその柵でイノシシの侵入を防いでいたが、野洲川沿いに生息地を拡大させるようになったため、正福寺農業委員会は4年前、高さ1メートル、長さ1・4キロにわたる柵を川沿いに設置した。
これで同地区のイノシシ被害は減ったが、今度は河川沿いの別の地域で被害が目立つようになった。
これについて同市農地保全課は「管理者の県が河川内の樹木を放置した結果、樹林化した河川敷をイノシシが移動している」とみている。
一方の県は昨年度から、「コストがかかるため治水上、優先度の高い川幅の狭い区域から伐採する」と実施しているが、今のところ、イノシシ被害の急増している同市正福寺~岩根付近の予定はない。
同市のイノシシ被害は、稲を中心に2013年度72万円、14年度125万円、15年度155万円と急増し、「16年度は確定していないが、約200万円に膨らむだろう」と、同市農地保全課は気をもむ。
谷畑英吾市長は「河川内の樹林は洪水時の水の流れの妨げになるだけでなく、イノシシの住みかになって生活環境上の問題も生じている。本来、樹木を伐採するのは管理者である県の義務。従来から要望しているのに伐採しないから巨木が生い茂ってしまった」と適正な維持管理を求める。
イノシシの生態に詳しい高橋春成・奈良大学名誉教授「河川敷や堤防にはタケノコや木の実の食料もあり、さらにイノシシは泳ぐこともできるので、河川敷や川を泳ぎながら移動し分布を拡大していると考えられる。河川側の侵入防止柵の設置のほか、河川敷や堤防の竹やぶ、樹木の伐採は被害対策で有効だ」。









