運営委託受けた保護者会
◇全県
仕事の事情で親が昼間、家庭にいない児童にとって、放課後から帰宅まで過ごす学童保育所は「第二の家庭」といわれる。この一方で、公共施設の効率的な活用を図る指定管理者制度の導入に伴い、自治体が保護者会へ運営を丸投げした結果、管理者でもあり利用者でもある保護者会が保育の質向上と予算不足の板ばさみに陥るケースが出ている。【高山周治】
指導員の人員不足で
ヒヤリ・ハット事例も
「おはよう」。夏休みに入った七月下旬の午前八時前、愛荘町の学童保育所「秦西ジュニア」(小学一~六年対象)には、小学生たちが次々とやってきた。子どもたちは宿題を済ませると、トランプやくつ隠し、昔遊びなど楽しみだした。
同町秦荘西小学校区に学童保育所ができたのは平成二十二年。町が小学校の体育館ミーティングルームを利用して、保護者が運営する公設民営でスタートした。翌年、学校施設を改築して専用施設を設置したのに伴い、指定管理者制度を導入し、引き続き保護者会が管理者として運営することになった。
保育は、小学一~三年生の二十三人に対して、専任指導員一人、パート・アルバイトの指導員二人が、常時二人態勢で見守る。
しかし、この指導員配置について「実際の現場では見守りに限界がある。国の明確な指針はないが、全国学童保育連絡協議会が出す目安では、児童三十人以上に対して指導員三人だが、児童二十数人でも安全面を配慮すれば指導員最低三人が必要」と、専任指導員は指摘する。
続けて、「うちの場合、外遊びと屋内遊びの子どもが分かれると、二人いる指導員も二手に分かれる。運動場で学童保育所の子どもたちと、そうでない子どもたちが混在して遊具で遊んでいるのを、指導員一人で見守ると目が行き届かないこともある。けがをしそうでヒヤリとすることもある。そうかといって、遊びを制限するのはどうかと思う」と話す。
このように正午から午後六時半までの平日でもぎりぎりの態勢だが、まして午前八時前から保育が始まり、食事も加わる夏休みなどの長期休暇では拍車がかかる。
人手不足を補うアルバイトを募集するが、低い時給で人がなかなか集まらない。「コンビニでバイトしたほうが儲かると言われる」と、指導員は自嘲気味に苦笑する。
以前から保護者会に対しては、指導員の増員を提案してきたが、予算不足を理由に見送られてきた。予算は町の指定管理料と保護者の利用料を合わせて年間約六百万円。人件費の圧縮は、専任の一か月の手取り十二~十三万円、パートは時給八百円で三~六万円に抑えて努力しているが、仮に指導員を一人増やせば、電話やネットの通信費用、親子活動費などのカットはおろか、工作費や月二回の手づくりおやつなど、子どものささやかな楽しみまで奪うことになる。
これに対して町側は「特別の理由があれば予算アップは可能」とするが、指導員は「あらかじめ決まった予算で行政と運営契約を結ぶ指定管理者制度のもとでは、運営側でもある保護者が要望する余地はない。安全を取るか、予算を取るのか、自己矛盾に陥っている」と悩む。
今後の見通しについても、「学習障害や食物アレルギーなど様々な課題が出る中で、指導員は専門的な知識が必要となってくる。しかし今の状況では人員確保でさえ難しい」と危惧する。
ちなみに学童保育の運営形態は様々だ。大津市は平成十三年から市内三十六の学童保育所について「質のばらつきを是正し、全体の底上げを図る」と、公設民営から直営へ切り替えた。
栗東市の場合は平成十六年、十か所の学童保育所で指定管理者制度を導入し、保護者会に運営を委託。しかし、保護者会は「仕事をしながらの運営は厳しい」として平成十九年から手を引き、代わって同市社協が引き継いでいる。
東近江市では平成二十四年から、学童保育所十六か所について指定管理者制度に基づいて公設民営としている。委託を受ける保護者会やNPОは連絡協議会をつくり、ノウハウの共有化や研修会など通じて資質向上に努めている。
「ズーム・フラッシュ」は、記者が時代の“今”を現場から報告する企画記事です。






