評論家・八幡和郎氏に参院選の焦点聞く
参院選で滋賀選挙区(改選数一)から出馬の民主現職・徳永久志候補、自民新人・二之湯武史候補とも、松下政経塾(注)出身者である。そこで『松下政経塾が日本をダメにした』(幻冬舎)の著者である辛口評論家の八幡和郎さんに、参院選の焦点や松下政経塾出身政治家の課題を聞いた。【聴き手・石川政実】
―松下政経塾出身の政治家については。
八幡 普通の議員である分には、良心的で前向きだし悪くない。ただ大臣や首相としては、もの足りないことが多い。例えば、演説する技術は勉強するけれど、違う意見の人と真摯に議論する訓練ができていない。それと社会経験がほとんどない。例えば、野田佳彦前首相(民主)は、ガスの検針員だけ。前原誠司さん(元民主代表)に至っては、京大を出て、松下政経塾に入り、そこから政界入りしているために社会経験がゼロだ。
―しかし徳永候補は政経塾を卒業後、民間企業に入り衆院議員秘書にもなった後、県議を二期務めた。二之湯候補も、政経塾を卒業後、学習塾経営に励むなど、社会人の経験をそれなりに積んでいる。
八幡 野田さんや前原さんよりはましだ。ただやっぱり、公務員や企業の幹部だったとか、あるいは社会活動家、弁護士、学者、ジャーナリストとしての実績がある人が政治家になるべきだ。それがない野田さんは、考え方は悪くなかったが、人事が全然できなかった。かつての政治家は、知力、専門知識、職業経験、人間力いずれをとっても一流の人たちだった。松下政経塾を作った松下幸之助さんの願いは、これまでの日本にいない立派な政治家を一人でも育てることだったが、実際は促成栽培で地盤のない大量の若者にチャンスを与えているだけだ。
―維新政治塾もあるが。
八幡 あれは、促成栽培でなくて、即席ラーメン。、お湯をかけただけ。
―ところで今回の参院選のポイントは。
八幡 二か月前の最大の焦点は、「自民に続く第二党がどこになるか」だった。「デュヴェルジェの法則」というのがあって、小選挙区制度のもとでは、第三党以下は大きく育たないとされている。例えば、自民、民主という第一党、第二党はどちらかに政権を変わることはあっても、二大政党そのものは、そう簡単に動かない。
ところが昨年の十二月総選挙で、、民主と維新の差が非常に縮まった。その結果、今回の参院選では、維新と民主が逆転する可能性があった。
このような事態になれば、例えば前原さんなどに代表される松下政経塾系や保守系議員らが、大量に民主から維新へ移る状況まで予想された。しかし橋下発言を機会に、今回の参院選に限っても、維新が民主より多くの議席を獲得することは考えにくい情勢だ。つまり自公が非改選数を含めて過半数を取り、民主も第二党として生き残ることはほぼ確実であり、大きな政治変化は起こらないだろう。
(注)公益財団法人松下政経塾=松下電器産業(現在のパナソニック)の創業者である松下幸之助によって、昭和五十四年に設立された。国会議員、地方首長、地方議員などの政治家を中心に、多数の人材を輩出している







