明治以前の創業67社 最古は酒造会社の1532年
◇全県
日本国内には、先祖代々からの家業を守り継いだ老舗企業が数多く存在する。こうした「のれん」が継承されることは世界的に珍しく、日本の企業社会の特徴となっている。
その歩みの中には、社会変化による様々な経済危機や戦渦に巻き込まれたり、災害に見舞われたり、幾多の困難の壁を乗り越え、事業が続けられている。
世界的な不況が長引く中、深いデフレ構造の不景気にあえぐ厳しい経済環境に負けない堅実な経営を続ける企業も少なくない。時代と共に生き延びてきた世界に類のない老舗企業に学ぶべきものがある。
企業データベース「COSMOS2」によると、明治末年(一九一二年)までに創業した個人営業や各種法人を含む「老舗企業」は、全国で二万四、八四七社が確認され、最古の企業は、大阪府の寺社仏閣建築の(株)金剛組で西暦五七八年(敏達六年)の創業といわれ、聖徳太子が四天王寺建立のため百済の国から招いた工匠が始祖とされている。
民間情報調査会社・帝国データバンクの調べによると滋賀県内の老舗企業の創業時期は、明治時代(一八六八~一九一二年)が三五九社あった。江戸時代(一六〇三~一八六七年)及び江戸開府以前(一六〇二年以前)は六七社を数え、その構成比は全国平均(一一・二%)を上回った。
業種別で最も多かったのは、 清酒製造の十六社。以下ガソリンスタンド、木造建築工事業が続く。清酒は、およそ一、三〇〇年前には日本にあったと伝えられており、古くから定着した産業であるため、自ずと長寿企業も多い結果となった。
創業年が確認できたうち最も古かったのは、清酒製造業の山路酒造(有)で西暦一五三二年(天文元年)で業歴は四八〇年になる。次いで、創業来鉄砲、火薬商を営む(有)國友久太郎商店。三位は冨田酒造(有)で、上位三社はいずれも長浜市に本店を置き、創業時からの事業を守り続けている。 長浜は京都から北陸、東海及び関東方面への交通の要衝で、江戸時代には商業の町として栄えた歴史的背景がある。
一方、時代の変化に対応して事業を展開している企業もある。八位の(株)山彦は木材商として創業、現在は不動産販売や仲介、住宅建築も行っており、事業領域を拡大している。四位の西川テックス(株)、十位の大塚産業クリエイツ(株)はともに蚊帳の製造が始まり。西川テックスは、寝具カバーや羽毛布団に、大塚産業クリエイツは、自動車用内装材へと事業を転換している。
都道府県別の老舗輩出率(老舗企業数÷全企業数)を見ると、 京都府が三・九三%で最も高い。これは、第二次大戦の被害が少なかったこと、寺社仏閣の支援があり伝統工芸を守り育てる土壌があったことなどが老舗存続にプラスに働いたとみられる。
二位は山形県の三・七五%、三位は島根県の三・六三%。このほか四位の新潟県や七位の福井県など、上位には北前船の寄港地として江戸時代から商業や地場産業が発達していた県が名を連ねた。
滋賀県は四十七都道府県中五位。 福井県に隣接し北国街道や鯖街道など陸上ルートのほか、琵琶湖から瀬田川への水運ルートを擁していた。なお、最下位は沖縄県の十四社。戦争被害が大きかったことが要因である。
滋賀県を拠点として全国に事業を展開していた近江商人が江戸時代の前後に活動していたことは、滋賀県の老舗輩出率の高さにつながっていると推測される。このように三百年を超えてなお事業を継続する企業がある一方、時代の流れに淘汰される企業もある。
昨今、企業経営を取り巻く環境は厳しく、さらに東日本大震災という未曾有の災害に多くの企業が直面している。しかし、老舗企業は長年培った技術や信用をもとに、時代に合わせた新たなものを取り入れ作り出す力に長けた企業であり、過去の災害や戦争など、数々の修羅場をくぐり抜けてきた。老舗企業の今後の活動に注目が集まる。








