暴走する“クリーンセンター滋賀”<5>
◇湖南・甲賀
「まさに問題の先送りだ。これでは第二の造林公社になる」。県が七月十一日、県会常任委員会で産業廃棄物最終処分場「クリーンセンター滋賀」(甲賀市)を運営する(財)県環境事業公社(理事長=嘉田由紀子知事)の経営改善に向けて、「公社運営方式をあと五年間継続する」という基本方針案を示したことに、公社の経営に携わった元役員はほぞをかんだ。
この元役員は「公社が今後も運営を続けても、収益改善にはつながらない。公社は、県のコントロール下に置かれており、主体性が発揮できないからだ。 例えば公社の人事でも、副理事長は、県からの出向組で、ほぼ一年ごとに交代し、結局、誰も責任をとらないで帰っていく。それならば、公社が抱える長期借入金を県が支払って県有化して公社を廃止し、処分場の運営は民間業者に委ねる“上下分離方式”にすべきだ。そもそも県職員に民間の営業など出来るはずがない」と指摘する。
●収益無視で量確保へ
嘉田由紀子知事は今月二十一日の県議会代表質問で、センターの搬入量について「今年度は少なくとも昨年度に比べ一三%増の四万トンに達する見込み」と改善の兆しに胸をはった。しかし、これは昨年十一月から、二千トン以上搬入の廃棄物には四割の値引きを打ち出して、収益を度外視してまで量確保に努めたからだ。
ちなみにセンターの廃棄物埋め立て容量は、九十万立方メートルで許可が下りている。つまり、この処分場は空間(体積)を売るわけで、収益性を考えるなら少しでも比重(体積当たり)の重い廃棄物を集める必要がある。
●的外れの価格設定
公社設定単価を見てみよう。このセンターでは、体積でなく重量売りである。例えば廃プラスチック類と、鉱さい(注)が同じ価格(二十一円/キログラム)で価格設定されている。
これを体積当たりで金額比較すると、比重の軽い廃プラスチックが七千三百五十円/立方メートル、 比重の重い鉱さいが四万五百三十円/立方メートルとなり、実に五・五倍の収益差が生じる。
つまり現在の価格設定では、採算性の低い廃棄物で貴重な空間を埋めてしまうことになり、赤字経営からの脱却ができなくなる。
このためにも、市場を見据えながら、なおかつセンターの経営戦略に見合った価格設定が求められてくる。
元役員は「量確保とともに収益性も重視し、いかに処分場の空間を延命させるかだ」と言う。だが県も公社も、量的拡大しか眼中にない。
【石川政実】(連載・終わり)
(注)鉱さい= 金属の製錬のときに、原料鉱石中から分離され、炉中の溶融金属の上に浮かぶかす







