九州国立博物館のCTスキャンで失われていた記憶を取り戻せるか
◇大津
県立琵琶湖文化館(大津市打出浜)は二十三日、九州国立博物館の協力で行った近江の文化財のX線CTスキャン調査の結果、重要文化財の「木造空也上人立像」(近江八幡市安養寺町 荘厳寺所蔵)の胎内に、これまで存在が知られていなかった納入品の存在を確認できたと、発表した。
木造空也上人立像(像高八十四センチ)は十四世紀、鎌倉時代の作とされ、念仏を唱えて回った平安時代の遊行僧・空也上人の数少ない肖像彫刻の一つ。
九州国立博物館の楠井隆志主任研究員の調査報告によると、今回確認された納入品は、冊子状のものを丸め、中央をひもでくくってあり、全体に傷みがないことから、比較的新しい時代のものと推定でき、大正十二年(一九二三)の修理の調査報告書には納入品に関する記述がないことから、この修理の際の修理願文(しゅうりがんもん)か結縁交名(けちえんきょうみょう 造像に際して法縁を結んだ人たちの名前)である可能性を指摘している。
琵琶湖文化館では、胎内納入品の解明は次の解体修理を待たなければならないが、文化財に対する失われていた記憶を取り戻す契機になると、期待を膨らませる。
調査は、昨年六月十一日から九月五日まで福岡県の九州国立博物館で開催された「湖の国の名宝-最澄がつないだ近江と太宰府-」の開催を機に、わが国で初めて導入された文化財を非破壊で短時間に高精度に調査できる「文化財用大型X線CTスキャナ」を使って行われた。
木造空也上人立像をはじめ「湖の国の名宝」六件について行われた今回の調査結果は、同館発行の「研究紀要」第二十七号に掲載され、県内の各図書館、博物館、美術館などで閲覧できる。








