1兆円に膨らむ県の借金 知事選 県政の課題を探る(3)
◇全県
「県のやりくりだけではもはや限界だ。国の出先機関の見直しも必要で、地方への財源委譲は、県の財政再建につながる」。先月十二日に行われた公開討論会で、財政再建について述べた嘉田由紀子知事は、いつになく歯切れが悪かった。
県によれば、今年度末で県の借金にあたる県債残高は、一兆円の大台を超える見通しだ。
その一方で、貯金にあたる県債管理基金や財政調整基金の合計は四十九億円と底をつき、まさに危機的状況にある。
嘉田知事は十九年度に、今後、三年間(平成二十~二十二年度)の財政収支を試算させたところ、各年度で四百億円を超える財源不足が見込まれた。
早速、「財政構造改革プログラム」を策定し、平成十九年度に比べ、二十年度に百七十億円、二十一年度百八十五億円、二十二年度二百五億円の歳出削減を行うことになった。
だが、二十年に造林公社問題で日本政策金融公庫に六百九十億円の返済義務が生じた。
さらに同年秋のリーマンショックで、今年度の当初予算でも、法人二税は前年度比で約四割減に。このため県では、さらなる事業見直し(今年度予算編成で五十四億円削減)を余儀なくされる。
●公約、達成ならず
ちなみに嘉田知事は、四年前のマニフェスト(選挙公約)で(1)「人員で一割(一〇%)、人件費は総額で二割(二〇%)カット(2)「公社・出資法人を半減」―などを掲げた。
表のように十九年度に比べ、今年度は、知事部局ほかで三百二人削減されたが、これは全職員の一・五%に過ぎない。教員、警察官などはむしろ増加している。また給与カットを含む人件費の削減は約五十四億円で、全体の三・二%に過ぎず、公約をそれぞれ大きく下回った。
この理由について嘉田知事は六月定例県会で「教員と警察官が法令で職員数の基準が定められ、県独自での削減はむずかしいことを後で知った。このため知事部局などで三百二人を削減した」と釈明した。
また公社・出資法人では、外郭団体が三十四団体あったうち、知事就任後に県農地協会など三法人を廃止したにすぎない。
●避けられない大手術
昨年八月、経営企画室などを中心に極秘で財政改革試案が練られていた。それは聖域の人件費にも切り込む大手術だった。しかし嘉田知事は、政権交代で国から地方に大幅な財源委譲が進むという期待から採用しなかった。だが、三候補のだれが知事に選ばれようとも、“待ったなし”で、聖域の人件費にメスを入れざるを得ないのは確かだ。【石川政実】







