伝統文化継承と安全管理体制
【東近江】「伝統文化の継承という観点から積極的に支援したい」との小椋正清市長の答弁があったのは、今年3月10日の市議会。市民の復活を望む声に後押しされた。
大凧保存会の山田敏一会長(70)は「10年間100畳大凧の製作・飛揚が無く、このままだと伝統文化や大凧を揚げる技術が途絶えてしまう。」と、語る。
一方で保存会はこれまで、成人式などの節目で20畳敷大凧を製作し、技術継承に苦心してきた。
ただ、圧倒的なスケールの100畳敷と20畳敷では、製作も飛揚技術も難度に開きがある。
例えば、100畳敷は縦13メートル、横12メートルもあるため、骨組みは竹をつなぎ合わせてつくるが、竹の重さやしなり具合を見定め、凧の上下どちらに配置するかを決めないといけない。
さらに、風の力で壊れないよう強く固定するだけでなく、風圧のバランスをとるため、ほぼ同じ大きさ・重さで反発力やクセが同じような竹を選ばないといけない。これは熟練の技と長年の勘が求められる。
また、担い手の高齢化も進む。大凧保存会の会員数は、17人で、平均年齢は60代前半。
そして何より求められるのは安全管理の徹底だ。100畳敷大凧の飛揚をめぐっては、2015年5月31日に大凧落下による死亡事故が発生した。
同市事故調査検討委員会は事故から約1年後の2016年3月、報告書を小椋市長に提出した。
この中で事故要因を、立ち入り禁止エリアが十分でないなどと安全対策の不徹底や、関係者と責任者の危機認識の薄さを指摘し、「十分な安全管理体制が構築されるまでは実施を見合わせるべき」と提言した。これを受けて、100畳敷大凧の飛揚は10年間中止されてきた。
小椋市長は今回の復活に向けて、「(事故を教訓に)あらゆる場面を想定して実施しないといけない」(5月29日の記者会見)と述べている。
同市と大凧保存会は今後、100畳敷の飛揚の場所、時期を含めて協議を続けるとしている。







