崩れる近江牛の信頼性!
【全県】 (公財)滋賀食肉公社が近江八幡市長光寺町に整備した滋賀食肉センターにおいて、(株)滋賀食肉市場(寺倉浩一社長)が牛のと畜解体とセリ(毎週月曜日、木曜日)業務を行っているが、先月22日、牛肉のランク付けをする同社の格付員が休んだことで、枝肉のセリが急きょ中止されるという前代未聞の事態が起こった。 (石川政実)
食肉格付員は、日本食肉格付協会の取引規格に基づき、一頭ごとに格付(品質評価)を行っている。例えば牛肉の格付は、歩留等級(枝肉から得られる部分肉の割合)と肉質等級(牛肉の質)の組み合わせでランクを決める。
食肉市場の寺倉浩一社長によれば、1人しかいない格付員から「子どもが高熱を出したため仕事を休ませてほしい」との連絡が先月22日に入ったという。
慌てた食肉市場では、京都中央市場などに格付員を派遣してほしいと要請したが断られた。
万策尽きた同社は同月22日午前11時、買参人にセリ中止をファックスなどで通知した。
ゴールデンウイークに向けて牛肉販売に期待を寄せていた買参人の精肉店では、当日、枝肉を部分肉に加工する職人を待機させていただけに「どう責任を取るのだ」と憤る声もあった。
食肉市場では、定例のセリ日でない翌23日にセリを実施した。ここ最近では、2020年4月にシステムトラブルでセリが中止になったことはあるが、「格付員が不在でセリが中止になったのは記憶にない」(買参人)という。牛肉の格付は、近江牛の品質保証の根幹だけに、関係者に動揺が広がっている。
もともと食肉市場の格付員は、22年4月には3人いたが、昨年4月に1人が退職して2人になり、今年4月にはこのうちの1人から6月15日付けの退職願いが提出され実質的に1人体制になっている。
●あり方検討に疑問符
食肉センターの抜本的な経営改善を図ろうと県は2月、生産者、流通関係者、自治体の首長らで構成する第2回あり方検討会を開き、同センターでと畜やセリ業務を行っている食肉市場が、食肉センターの施設管理を行っている滋賀食肉公社と牛肉の内臓処理をしている県副生物協同組合の事業を一括して担う運営スキームを提案し、方針が承認された。このため食肉市場では、オールマイティーの人材育成のため格付員を営業に回すなどの人事異動を行ってきたが、それが格付員退職につながったとの指摘もある。
食肉市場では今月17日、緊急取締役会を開き、今回の事態の経緯を説明し、今後、格付員1人を早期に確保する方針を確認した。
買参人の食肉卸売業者は「食肉市場が会社として全然機能してない。県の意向で社長や役員がころころ替わり、社員もどんどん辞めていく。県は食肉センターのあり方検討会で食肉市場に機能を一本化する方針だが、こんなことでは近江牛は崩壊する」と危機感を募らせていた。







