【県】 県立琵琶湖博物館(草津市下物町)前館長の高橋啓一氏(67)に対し、今月1日付で名誉館長の称号が授与された。
高橋氏は、福岡県出身。日本大学文理学部応用地学学科卒業。学芸員、歯学博士、理学博士。開設準備室時代の1990年4月1日から今年3月31日までの29年間にわたり同博物館の運営に携わり、2019年4月からは3代目館長に就任した。以来、琵琶湖博物館にもっとも精通した経験を有するという強みを生かしながら、高度な知見と卓越した指導力により、琵琶湖やその周囲の自然、人々の暮らしの価値や魅力を地域とともに探求し、発信するなど、「湖と人間」をテーマにした琵琶湖博物館の価値を磨き上げてきた。
特に第1期から第3期にわたる同博物館のリニューアルにあたっては、的確な総括管理により高い評価を得て来館者の増加につなげるなど、組織運営で高い手腕を発揮した。
また、ゾウ類化石研究の第一人者として、琵琶湖地域と日本各地、近隣諸国との比較研究により古琵琶湖時代のゾウの出現の状況や世界的な視野でゾウ科の起源とその放散過程を明らかにするなど、多大な研究成果を上げている。さらに、他のせきつい動物化石を含めた分析から現在の日本の動物相の成立過程の解明においても大きな足跡を残し、その研究成果を企画展やギャラリー展など琵琶湖博物館の事業活動として展開するなど、事業・研究の両面で同博物館の機運や魅力向上に多大な功績を残した。
今回、それらの功績が県から高く評価され、三日月大造知事から名誉館長の称号が贈られた。同称号が贈られるのは初代館長の川那部浩哉氏、2代目館長の篠原徹氏に続いて3人目となる。
称号授与式は県公館(大津市京町4)で執り行われた。三日月大造知事は「高橋さんには琵琶湖博物館の現在の姿を作りだすことに多くの力を発揮してもらった」と振り返り、特に昨年2月、ビワコオオナマズの水槽破損事故以降、高橋氏が先頭に立って復旧に尽力してきたことなどに改めて感謝を伝え、「いろいろとこれからも我々の歩むところにご示唆をいただきたい」と述べた。
知事との懇談で高橋氏は「水槽が破損した時は家族を亡くした時のように悲しかったが、職員や地域、来館者が協力し、また多くの応援をしてもらうことができた。事故以降、みなさんとの距離が縮まった気がする」と振り返り、「いろんな方面から琵琶湖を見て、その価値を知ってもらうのが琵琶湖博物館の仕事。それに関われてよかった」と述べた。
授賞式後、記者団の取材に応じた高橋氏は今後について、自身の研究成果などの整理を進めつつ「多くの人が交流できる博物館に少しでも協力できるよう、いろんな機会で呼びかけていきたい」と語った。







