大阪地検特捜部別件で捜査か
【全県】 本紙は大津地検が先月6日、詐欺容疑で大野和三郎県議(68)の県議会議員控え室を家宅捜索した際、大阪地検特捜部も同県議の自宅や事務所の家宅捜索に加わった模様だと報じた。大津地検は政務活動費詐取の事案だが、ここにきて大阪地検特捜部も別件で捜査をしているとの情報が出てきたのだ。(石川政実)
大津市長選関連は出番なし
官製談合疑惑もパスの公算大!?
大津市長選関連
大阪地検特捜部と言えば、スケール感が求められるのが常だが、その意味では、2020年1月の大津市長選に関連した事案が注目されるところだ。
自民党県連の前事務局長が寄付金の名目(企業献金)で19年9月から同年12月にかけて県連の口座に振り込まれた資金750万円を、「これは佐藤健司氏(現大津市長)が20年の市長選に出るためのもの」と言って県連から引き出していた。そこで県連が佐藤市長に確認したところ、「金は受け取っていない」と迂回献金疑惑を否定。県連の調査に対し、前事務局長は、佐藤氏に渡さず着服したことを認めたという。
前事務局長は16年から21年にわたって、県連や自民党県議団の口座から多額の現金を引き出し私的流用していた。県連は約4500万円を着服されたとし、県議団は約2400万円の私的流用を対象に、業務上横領の疑いで22年にそれぞれ刑事告訴していた。
これを受けて県警は先月26日付けで前事務局長を書類送検したが、そこには前述の750万円も含まれており、大阪地検特捜部の出番はないはずだ。
官製談合疑惑
そうなると大阪地検特捜部が大野氏の自宅や事務所を家宅捜索したという情報の真偽が問題になってくる。特捜部マター(案件)として考えられるのは県内唯一のと畜場である滋賀食肉センター(近江八幡市)での牛内臓処理をめぐる官製談合疑惑である。
牛の内臓処理を行っている県副生物組合の元理事長が19年、恐喝未遂容疑で逮捕(22年1月に無罪確定)されたため、滋賀食肉センターを管理する滋賀食肉公社は20年3月から副生物組合と法令順守などについて協議を続け、副生物組合も公社の要求通り役員刷新などを行ってきた。
ところが政治的圧力があったのか分からないが、同年12月16日、公社は副生物組合に対し、一方的に21年度からの施設使用契約拒絶を通知してきた。そして公社は12月21日、副生物組合に替わる業者選定として公募型プロポーザル(企画競争)入札方式の公告を行った。21年1月27日にはS社のみが企画提案書を提出し、2月3日の事業者プレゼンテーション審査で同社が選定された。
一方、副生物組合は「賃貸借契約が4月以降も存在する」として2月1日、大津地方裁判所に提訴した。このため裁判が決着するまで内臓処理は同組合が継続することとなり、公社はS社との契約交渉を中断。同年3月になって公社は「年度が替わる4月以降の契約締結は行わない」ことをS社に伝えた。
本紙が情報公開請求で入手した21年3月8日の県畜産担当の宇野良彦理事(当時)らと大野氏との面談記録では、大野氏は「今回の副生物組合の訴訟は、組合の主張する賃借権ではないということとあわせて、組合の3500万円の債務について別の訴訟でなく、(公社も)一緒に訴訟すべきだ」と宇野理事に指示を与えた。
これを受け公社は同年4月7日、大津地裁に未払金請求の提訴を行った。大野氏は、県や公社の司令塔だったのかもしれない。
20年12月から21年3月かけて数回、「プロポーザル入札は癒着や官製談合で、当初から業者が内定していた」という怪文書が関係筋に流れた。だがプロポーザル入札に参加したのはS社のみであり、結果的に官製談合には至らなかった格好になった。
しかし県庁OB(部長級で退職)が21年秋ごろ、公社と県の担当者2人に確認したところ、「早い段階でS社に決まっていた」と語ったという。
事実、公社と県は20年10月22日と12月3日の2回、S社を訪問している。
県の宇野理事(当時)は本紙に「プロポーザルを実施するにあたり、県外業者にも参加しやすい仕様書をつくるため、S社や京都食肉市場を訪れて、副生物の商取引ルール、処理方法などを教えてもらった」と説明していた。
公社が内臓処理業者をプロポーザルで選ぶと決めた以上、もし入札参加者がなければ近江牛ホルモンは供給できなくなるだけに、経験豊富なS社に公社や県が早くから目をつけていたのは確かだろう。
本紙は、公社の保田誠専務理事に「特捜部のガサ入れはあったのか」と取材したところ、真顔で否定した。もし、大阪地検特捜部が大野氏の自宅や事務所を家宅捜索したとするなら、その案件はなんなのか、謎は今も残されたままだ。(連載終わり)







