政務活動費詐欺の疑い 官製談合疑惑も!?
【全県】 大津地方検察庁は6日、大野和三郎県議(68)の県議会議員控室を家宅捜索し、タブレットなどを押収した。詐欺容疑の捜索令状を提示された小林雅史・県議会事務局次長は「大津地検捜査員らとの会話から、共産党県議団が大野県議を政務活動費詐取の疑いで大津地検に刑事告発した一件であるのを確信した」と語った。(石川政実)
同党県議団は2022年12月、大野県議が17年から20年までの間に発行した県政報告(個人広報紙)費用数百万円をあたかも支出したかのように記載した有印公文書の収支報告書を作成し、県議会事務局に提出して二重取りをしていた疑いがあり、虚偽有印公文書作成・同行使と詐欺罪にあたるとして大津地検に刑事告発した。
●堀川食品の排除要請
大野県議は、政務活動費の問題だけでなく、高圧的態度で職員に暴言を吐き、陳謝する事態を引き起こした。同県議は県とJA全農滋賀に対し、全農滋賀から牛肉の内臓(ホルモン)を一手に引き取り販売している堀川食品(本社長浜市)の排除を執拗に求め、県幹部らを怒鳴ることもたびたびだった。このため22年5月、県議会は初の政治倫理審査会(政倫審)を設置し、同年12月には大野県議の言動は県政治倫理基準違反と認定した。これを受け昨年2月、大野県議は2月定例県議会の本会議で陳謝した。
●利害関係者の側面も
政倫審委員であった杉本敏隆前県議は「大野県議の県職員に対する高圧的な不当要求の背後には、同氏の親族が全農滋賀と取引を行う利害関係者という側面がある」と述べた。
具体的には、全農滋賀では、大野県議の親族が経営する食肉加工会社の(有)Y・M・Oが豚の枝肉加工、堀川食品グループの県食品企業組合が肉牛の枝肉加工、堀川食品が全農から一手に内臓を買って販売するなど、大野県議の親族と堀川グループとは競合関係にあった。
県副生物協同組合(組合)の当時の理事長であった堀川眞智子氏は、堀川食品グループ(県食品企業組合、企業組合堀川食品)の代表も務めていた。この同氏が19年9月、恐喝容疑(後に脅迫容疑)で逮捕される。その後、無罪になった。
●プロポーザルでS社
県内唯一のと畜場である滋賀食肉センター(近江八幡市)を管理する滋賀食肉公社(公社)は20年12月、組合に対し21年度施設使用料更新拒否を一方的に通知してきた。さらに公社は同月、組合に替わる内臓処理業者を選定するため、公募型プロポーザル(企画提案競争)を公告。21年2月3日には噂(うわさ)通り県外の食肉加工の最大手のS社が選定された。これに前後して組合は賃貸借権確認請求で大津地方裁判所に提訴。公社も組合の使用料未払いで大津地方裁判所に提訴した。このため県はS社との契約交渉を中断し、その後、契約交渉は頓挫(とんざ)した。
同年3月ごろ、「大野県議は組合排除に力を注いだが、県や公社の幹部、元農林水産省官僚らもプロポーザル前の早い段階から組合を排除しS社に肩代わりさせる計画を進めた」とする怪文書が出回った。事実、公社、県の担当者がプロポーザル前にS社を数回訪問している。
●知事にS社契約迫る
一方、大野県議は、21年11月、三日月大造知事と自民党県議団との政策協議会で「公社と組合が係争中でも、別にエントリーしている法人(S社)があるので、組合との契約を解除し、新たに(S社と)契約更新するよう農政水産部長らに指示してほしい」と知事に迫っている。これは異例のことである。
●公社、和解より判決
食肉センターの抜本的な経営改善を図ろうと県は今月2日、生産者、流通関係者、自治体の首長らで構成する第2回あり方検討会を開き、同センターでと畜業務や販売業務を行っている市場が公社の事業(センターの設置・開設、施設の管理等)と組合の事業(内臓処理業務)を一括して担い、センター全体の一貫経営を行う運営スキームを提案した。
組合の刀根章理事長は「当事者である組合をあり方検討会のメンバーから外して、組合の経営形態を勝手に決めることは経営権への不当介入だ」と憤る。
公社の理事の間では、この4~5月ごろに裁判所から公社と組合に和解提案があれば、公社や県は検討すべきといった声も。
しかし、市場の寺倉浩一社長は「公社は、和解でなく、判決で決着する方針だと聞いている」と話している。
県内の肉牛生産者は「県が食肉センターの業務を市場に一本化するのは、自家割(注)を廃止するためだ。だが市場に一本化しても、公社や組合分の累積赤字の早期黒字化は困難であり、数年後にはS社など県外大手食肉業者に売却する可能性もある」と警戒する。
(注)自家割=出荷者が卸売市場を利用せず、と畜のみを利用し、内臓を持ち帰るもの。







