戦後78年を経た返還式で家族の元へ
【全県】 太平洋戦争時、出征する人の武運長久を祈って託されたが、激戦で命を落としたり戦地で遺失してしまった後に他国の兵士らによって持ち帰られていた品を遺族の元へ返す「戦争遺留品返還式」がこのほど県公館(大津市京町4)で催され、県から出征した2人分の日章旗が古里の遺族の元に戻された。
県遺族会(同市におの浜4、山川芳志郎会長)では、アメリカで旧日本兵の遺留品返還活動に取り組む団体「オボン・ソサエティ」や国と連携し、それらを県内の遺族の元に戻す取り組みを継続している。2015年に現在の東近江市から出征した人の日章旗が戻ってきたのを始まりに、昨年まで幟(のぼり)や手帳などの戦争遺留品計16点が遺族やゆかりのある人の元へ返還されてきた。
昨年8月、「オボン・ソサエティ」から厚生労働省、日本遺族会を通じ、県遺族会に遺留品関係遺族の捜索依頼があり、県内各市町の遺族会を通じて確認を行ったところ、元の持ち主と各遺族が判明した。
今回判明したのは次の2人(順不同)の日章旗。▽故・寺崎徳蔵さん(旧甲賀郡水口町水口)復員兵▽故・清水一郎さん(旧愛知郡日枝村)マリアナ諸島テニアン島で戦死。
返還式には、三日月大造知事と寺崎さんの遺族、県と関係各市町の遺族会、岩佐弘明県議会議長、遺族らが暮らす各市町の首長らが出席した。また、故・清水さんの遺留品は、豊郷町遺族会が遺族代理で受け取った。
各遺族代表に遺留品の日章旗を手渡しで返した三日月知事は「敵味方の恩讐を越えて日章旗の返還をすることができた。この取り組みは県としても大事な取り組みであると考えている。戦争の悲惨さをみんなに伝え、平和の尊さをこれからもしっかりと私たちや次の時代に刻み込むためにこうした行事を大切に積み重ねていきたい」と述べた。また、県議会の岩佐議長は「遺留品が戻ってこられたことを県民の一人としてうれしく思う。まだまだ多くの遺留品が眠っているのではないか。一つでも早く、多くの返還が実現することを願っている」と語った。
遺留品を受け取った遺族らは、生きて帰ってくることを願って日章旗に書かれた地域からの寄せ書きを読み、家族への思いを確認していた。
返還式の最後に、県遺族会相談役でオボン・ソサエティのサポーターも務め、戦争遺留品返還に尽力している國松善次元知事は「この返還された旗がこめている願いを、少しでも伝えていってほしい」と語った。








