近畿地方整備局に知事が遺憾表明
【全県】 超大型の台風21号が県に接近した先月23日午前1時52分~3時30分まで、国土交通省近畿地方整備局琵琶湖河川事務所(大津市)は瀬田川洗堰(あらいぜき)を全閉し通水を止めた。河川事務所では、下流の天ケ瀬ダム(宇治市)でダムの最大放水量毎秒840トンを上回る流入量になった場合は全閉するよう定められている洗堰操作規則に基づくものと説明。このため、自民党県議の間では「大戸川ダムがあれば全閉操作は防げたはず」との声が強まっている。(石川政実)
全閉操作は、記録的な大雨になった場合、上流の滋賀県を犠牲にして、住宅などが密集する宇治などの下流を守るために、国が瀬田川洗堰を完全に閉めるもの。1905(明治38)年、瀬田川に南郷洗堰(瀬田川洗堰の前身)が完成して全閉操作の運用が始まったが、県には屈辱の歴史でもあった。
●全閉公表されず
県流域政策局によれば、先月22日午後10時ごろに河川事務所から県へ「洗堰の放流量を絞る」というFAXが送られてきた。全閉操作もあることを示唆したものだ。同日午後11時前に、県担当者は全閉操作の回避を要請する知事名の文書を河川事務所所長に手渡す。翌23日午前1時ごろ、河川事務所から県に「午前1時半から全閉に向け操作する」とFAXが送信されてくる。洗堰は午前1時30分から全閉操作が開始され、午前1時52分から全閉された。
県は午前3時過ぎ、早期放流再開を要請する文書を河川事務所に再度手渡した。ようやく午前3時30分から洗堰より放流が開始された。約1時間半にわたり、全閉されたのだ。これにより琵琶湖の水位は0・4ミリ程度上昇したと推算されている。全閉操作は13年以来、4年ぶりだった。
しかし県民に負担を強いる全閉操作は公表されなかった。30日の決算特別委員会での富田博明県議の質問でようやく明らかとなり、31日の常任委員会で取り上げられた。
三日月大造知事は今月1日の定例会見で記者の質問に答えて「全閉の回避を要請していた中で実施されたことは遺憾だ。全閉操作をしなくてもいいよう瀬田川の改修、天ケ瀬ダムの再開発、宇治川改修を急いでもらいたい」と国に注文をつけた。しかし治水効果が高いとされる大戸川ダムには触れなかった。
このダムは、洗堰付近で瀬田川(淀川)に合流する大戸川に建設計画が進められている治水ダムのことである。大戸川ダムについて国が1968年に予備計画調査に着手。だが2008年に整備局の諮問機関“淀川水系流域委員会”が「効果が限定的」として建設見直しを求めた。これに追い打ちをかけ嘉田由紀子・県知事(当時)や橋下徹・大阪府知事(同)らが建設凍結を求める共同見解を発表し、国交省は9年に事業凍結を決めた。
加藤誠一県議は「今回の全閉操作も大戸川ダムがあれば回避できたはずだ。国交省近畿地方整備局も『大戸川ダム建設がそれ以外の治水対策より有効』という検証評価をしている。嘉田氏の後継者の三日月知事も、大戸川ダム再評価へ舵を切るべき」と指摘する。







