予断許さぬ終盤戦の雲行き 投票率の行方が鍵
十七日投開票の大津市長選は終盤戦に突入した。現職で再選を目指す越直美氏(40)と新人で前県議の蔦田恵子氏(54)が女性同士の火花を散らせば、そこに新人でテレビプロデューサーの川本勇氏(56)が割って入り、さらには新人で共産党県役員の川内卓氏(60)=共産推薦が肉薄する大混戦だ。この三日間で無党派層に火が着けば、予断を許さない展開に。最終は「三千票前後」の差で決着か。
【石川政実、高山周治】
●火を噴く女の戦い
先月末の地元新聞社主催の候補予定者討論会で、越氏は「蔦田さんは経済界の支援を受けているが、業界との癒着をどう断ち切るのか」と質問した。笑顔が“売り”の越氏が別の素顔を見せた瞬間だった。これには蔦田氏も「癒着とは失礼な!」とキレたという。
蔦田氏は急きょ八日、日本商工連盟大津地区と政策協定を結び、経済界との関係のルール化を図って癒着批判を打ち消した。
越氏と異なる「正しい改革」を掲げる蔦田氏の選挙母体「オール大津」(河本英典代表)の決起集会が六日に開かれたが、佐野高典・自民党県連幹事長は「民主の越氏に保守が負けるわけにいかない」と訴えれば、自主投票の公明党の粉川清美県議も駆けつけるなど“自公”態勢が鮮明に。建設業界など各種経済団体がフル稼働だ。
●波紋呼ぶ嘉田学長
「改革継続を掲げる越さんは(補助金をカットし)女悪代官のように言われているが、これは未来の大津のためだ」。越市長誕生の立役者のひとりである嘉田由紀子・びわこ成蹊スポーツ大学学長(前県知事)は八日、越氏の決起集会で訴えた。
四日に真野事務所を開設したが、他候補らに間近に肉薄されているため、河井昭成選対事務長は「市北部は嘉田氏にお任せ」と“嘉田票”にすがりつく。
これに対し蔦田陣営は「嘉田氏は知事を辞めて県内の大学に天下りし、大学がある県や市の首長選に奔走するのは行政と大学との癒着を招きかねない。学園のオーナーが選挙応援する例はあるが、嘉田氏のようにオーナーでない学長の場合は全国的にも異例。嘉田学長のやり方に批判的な看板教授の若吉浩二氏が近く同大学を去るなど波紋を呼んでいる」と憤る。
●巨大組織VS市民派
今回の市長選を「脱政党選挙」とマスコミは喧伝(けんでん)するが、内実は巨大政党・労働組合による徹底した組織選挙である。
民主・連合滋賀の越氏、自民・公明の蔦田氏、共産の川内氏といった巨大政党・組織に対し、組織や政党に頼らず、しがらみのない政治を掲げる市民派の川本氏が反骨のロック魂を胸に草の根選挙で挑む。
「強引な越市政にもう我慢できない」と連合系の市職員組合や教職員組合、社民党の有志らが応援に加わる。
そんな草の根選挙で重視するのがメディア戦略。スマホやパソコンから「チャンネル大津」で検索すれば午後八時から毎晩ぶっつけ生放送「ライブ選挙」という個人演説会が視聴できることだ。そこでは原発再稼働反対や安保法制見直しなども訴える。若者に浸透してきており台風の目だ。
●全ては戦争法廃止に
川内氏の選挙母体「いのちとくらしを守る大津市政をつくる会」は当初、勝てる候補として川本氏との連携を模索していた。
しかし、その流れが一気にしぼむのは昨年十一月の大阪の知事選、市長選のW選挙で共産党や自民党などの「非維新」が大敗したことだった。これを境に慎重論が台頭し、従来型の独自候補擁立に舵(かじ)を切って川内氏を擁立する。
告示の十日は穀田恵二同党国対委員長を迎えて、街頭演説を行った。十一日にはレッドアクションと銘打って戦争法(安保法制)廃止を訴える「二千万署名」が全国一斉に実施され、市内でも若者が署名運動を展開したのに同氏も合流して安保法制廃止を訴えた。
その流れを大津市長選にどうつなげるかが大きな課題になっている。










