石山団地 高齢化に住民立ち向かう
京阪神のベッドタウンとして宅地化が進み人口が急増した大津市。
しかし現在は急激な高齢化の波が押し寄せている。市の九月三十日の人口は三十四万二千人で、このうち六十五歳以上の高齢者比率は二四・三%(県平均二三・八%)に達する。
市の将来人口推計では、団塊の世代(昭和二十二年~二十四年生まれ)が七十五歳以上となる平成三十七年(二〇二五年)は人口が三十四万七千人となり、このうち高齢者比率は二七・四%とピークを迎える。
独自調査で高齢者比率40%判明
1月から開設のサロン大盛況
厚生労働省は三十七年に向け高齢者が住み慣れた地域で暮らし最期を迎えられるように医療・介護・生活支援のサービスを一体的に提供する「地域包括ケアシステム」構築を進めている。
これを受け大津市は、市内七ブロックに地域包括ケアの拠点を設置。保健師・看護師、社会福祉士、主任ケアマネージャーの三人を一チームにして市内に十五チームを配置するが、急増する高齢者に追いつけていないのが実情。
行政が当てにできない中で、住民自らが高齢者問題に取り組む動きが出ている。その一つが石山学区の通称、「石山団地」。同団地には、市営住宅、県営住宅、公団住宅などが集まり、八自治会からなる。
同団地の近くで児童養護施設の運営などをしている社会福祉法人「湘南学園」では、高齢化が進む石山団地の現状について「なにかできないか」と、石山学区の関係団体(学区自治連合会、社会福祉協議会、民生委員児童委員協議会など)と共同して二十五年七月、将来構想プロジェクトチームを立ち上げた。
そしてワーキングチームをつくり、同団地の高齢者実態調査を昨年一~二月に実施したところ、総人口二千九百二十五人のうち、高齢者比率が四〇%という驚くべき数字が出た。
「具体的な対応を急がないと大変だ」と同年六月、プロジェクトチームをベースに「石山団地の“共に生きるまちづくり委員会”」(略称・共まち委員会)を設置し(1)高齢者らが集うサロンの設置(2)診療所づくり―などに取り組んでいく。
今年一月から月一回、団地内で開かれている「共まちサロン」は毎回、約四十人の参加者でにぎわう。地元スーパーの協力で開催している市(移動販売=写真)も好評だ。
共まち委員会のメンバーの一人で、共まちサロン運営でも中心的な役割を果たしている涌田和子・県営石山南団地自治会長(66)は「ともすれば引きこもりがちになる独居高齢者の方が共まちサロンに参加して話し合うことで、『一人じゃないんだ』と安心感をもたれることがすごくうれしい」と目を輝かす。
以前には団地内にあった三つの診療所や三つの地元スーパーがいまでは姿を消した。高齢者が病院や買い物に行くには、バス停まで勾配のある坂道約一キロを歩かねばならない。
このため杉立隆一・湖南学園常務理事(54)らは「住民たちで診療所を誘致するから、空き地になっている県営住宅跡地の一角を診療所用に貸してもらえないかと県に要請しているが、色よい返事がもらえない。市がもっと積極的に県に働きかけてくれたら」と残念がる。
石山団地の取り組みは、市の現在の七つの包括ケア体制や、越直美市長が進めようとする三十六支所の廃統合でなく、むしろ各支所を中心にした住民主体の福祉のまちづくりが必要なことを示唆している。 【石川政実】連載終わり









