来年1月10日告示の大津市長選
来年一月十日告示、十七日投開票の大津市長選に向け、県議会無所属会派「良知会」代表の蔦田恵子氏(53)がこのほど、無所属での立候補を表明した。現職の越直美氏(40)は再選に意欲満々だが、支持母体の市議会会派「市民ネット21」が慎重な構えを崩さず難航気味だ。現在のところ越氏と蔦田氏との女性対決の公算は高いが、第三極の男性候補としてメディアプロデューサーの川本勇氏(56)も急浮上。さらに自民県議にも動きがあり、混とんとした状況だ。 【石川政実】
●市は機能不全!?
県議の蔦田氏は十三日、市内で会見し、大津市長選に無所属での立候補を表明した。
経済人らでつくる“明日の大津を考える会”の河本英典代表は「今の大津市には活気がなく、街が疲弊している。越氏のコミュニケーション不足で市役所内が機能不全に陥っているからだ」と指摘。
二十三日に選挙母体の立ち上げを発表し、党派の推薦にこだわらず、幅広く支持を求めていく方針だ。
蔦田氏は「『優しい改革』を目指したい」と抱負を語った。同氏は、小林聖心女子学院高校、甲南女子大文学部国文学科卒。びわ湖放送キャスターを経て平成十五年に県議に初当選した。平成二十二年には、みんなの党公認で参院選比例代表に出馬したが落選した。現在、県議は四期目。
市議会最大会派(保守系)の湖誠会は十四日、蔦田氏から考えを聞き、同氏を基本に集約を図ることになっていた。
ところが、会派内には「なんで蔦田氏なのか。自民県議から出さないのか」との声もあることから、自民県議が出馬に意欲をみせている。
同党滋賀第1選挙区支部長の大岡敏孝衆院議員は「蔦田氏は政党の推薦を求めないため、自民県議が大津市支部連絡協議会に市長選の推薦願いを出せば無視できなくなる。女性同士で越氏と蔦田氏が激突の場合、男性の自民候補が出れば“漁夫の利”で勝つ公算も。ただそうなると自民の分裂選挙になり来年の参院選に影響が出る」と頭を抱える。
●市民ネットの意地
一方、再選を目指す越氏に立ちふさがるのが民主系の市議会会派「市民ネット21」。前回は越市長を推し、マニフェストも共につくった間柄だったが、現在は冷え込んでいる。重要な政策変更を会派に相談もなく進め、湖誠会幹部らを頼りにする姿勢に不信感がぬぐえないからだ。
現在、越氏と市民ネットとの協議は断続的に行われているが、「これまでの四年間を越氏が総括しない限り、次の四年の話など出来ない」と厳しい声が同市議団から出ている。
●茂呂ブログの衝撃
県立膳所高校卒で、ハーバード大学ロー・スクール修了の弁護士、越氏は平成二十四年の市長選で、現職を破って初当選。大津市中二いじめ自殺事件では、第三者調査委員会を設置して事実を解明し、いじめ対策の強化に取り組んだ。だがその一方で、市役所内部では混乱が起こっている。
昨年三月、富田真教育長が「体調不良」を理由に任期途中で退任。
同年五月には茂呂治副市長が「一身上の都合」として途中で退任するなど、幹部が相次いで市役所を去った。
その茂呂氏が退任する前の昨年三月に越市長に渡した手紙を自らのブログ(パソコン、スマートフォンから「大津通信」で検索)に書き込み、越批判を広めることになった。
それは、市職員や現場の教職員、市幹部からの「とにかく聞かない、任せない、決めないの三拍子がそろって市長自身および部下の多忙につながっている」という切実な訴えだった。
これを受け、越氏の生みの親である嘉田由紀子前知事に対して、同氏の側近からも「今回は(越氏を応援せず)寝るべき。そうでないと晩節を汚す」と自重を促す忠告が相次いだ。
●第3極の動きも
越氏と蔦田氏とも行財政改革を掲げており、スタンスは近い。ただ越氏は原発再稼働に反対だが、安保法制には理解を示している。
これに対し蔦田氏は安保法制や原発再稼働に一定の理解を示しており、違いもみられる。
そんな中、両氏に批判的な市職員組合や教職員組合、大津の若手経済人らが第三極の候補として川本氏に打診中だ。ふるさと滋賀にこだわり、テレビ・ラジオなどのメディアを通して、滋賀のニュース、経済、政治を鋭く斬るメディアプロデューサーでパーソナリティーである同氏は、県内では知名度が高く、“勇さん”の愛称で親しまれている。膳所高校、大阪市立大学経済部卒。メディア・音楽制作会社ユーストン、ユーロックの代表取締役、ミュージシャン、成安造形大学客員教授。
他方、前回、医師の東昌子氏=共産推薦=を擁立した“いのちとくらしを守る大津市政をつくる会”の長田茂事務局長は「安保法制を廃止するためにも、安保法や原発再稼働にきちんと反対する第三の候補が現れれば、連携することもやぶさかでない」としている。
大津市長選は、川本氏や自民県議などによる第三極に向けた動きが出始めており、混とんとした状況が続きそうだ。








