公立図書館の民間委託推進
◇大津
大津市立図書館の運営をめぐって、越直美市長の民間委託推進路線に逆風が吹いている。これは、レンタル大手「TSUTAYA(ツタヤ)」に指定管理者で運営を丸投げした佐賀県武雄市で選書のずさんさが表面化したのに続き、愛知県小牧市では同社の運営方式が住民投票で否決されるなど、公教育に対する行政責任のあり方が問われ始めたからだ。(高山周治)
市民、市議会から危惧の声高まる
市教委で年明けまでに一定結論か
大津市の公立図書館の民営化をめぐっては、目片信・前市長の行革プランで設定されたが、「指定管理者制度にそぐわない」という理由で除外された。
そして、行財政のスリム化を目指す越市長になって再び浮上した。しかし、学識経験者などで構成する図書館運営協議会に諮問した結果、今年三月、専門職員の継続的な育成や公教育の観点から、「指定管理者制度の導入はなじまない」との答申が出された。
これを受けて同市図書館は七月下旬、全国の民営化の実態を調査した報告書を市教育委員会へ提出した。これをもとに市教委は議論を始め、年明けまでには結論を出すとみられる。
報告書をまとめた同館の井上敏館長は、運営協議会の答申内容を「重く受け止める」としつつ、「全国の公共図書館のうち指定管理者制度を導入しているのはまだ一三%(二〇一四年度)だが、緩やかな増加傾向にあることは今後注目すべき」と、幅広い議論を期待する。
一方、市の動向に危機感を持つのが、市民団体「図書館を考える大津市民の会」だ。同会は、図書館における人口一人当たりの本の購入費が県平均三百四円に比べて、大津市は百十八円と低いことなどを挙げ、「指定管理者制度の導入の前にやるべきことがある」と訴える。
また、同会の学習会に講師として招かれた滋賀大学名誉教授、住岡英毅氏は、「平面的に、財政の問題とか、その方が市民が喜ぶのじゃないかというレベルで論じられては困る」と、公教育を担う図書館への行政の認識が薄れる風潮に苦言を呈した。
市議会でも疑問視する声が高まっている。一貫して指定管理制を反対してきた谷祐治市議は「様々な世代が集う図書館は多様な学びの可能性をもつ場なのに、大津市はビジョンがなく生かせていない。業務の効率化、経済的な面だけを追求すると、単なる貸本屋になる」と批判している。
ちなみに、同市の民営委託推進に対する市民の考えを聞くパブリックコメントには、過去最多の四百五十七件の意見が集まった。このうち約八割が図書館に関する意見で、大半が指定管理者制度などの民間委託に反対する意見だった。







