重金属含む濁水流出を危惧
◇大津
国内最大級の不法投棄事件で知られる香川県・豊島(てしま)の汚染土壌約七万トンを大津市伊香立途中町の民間施設で処理する計画に、地元住民が激しく反発している。計画の問題点について、土壌汚染に詳しい元大阪市立大学大学院教授の畑明郎氏に聞いた。【高山周治】
――なぜ香川県の汚染土壌が大津市に。
畑 香川県は平成十六年から十年計画で、国の産廃特措法に基づく財政支援を受け、直島で焼却・溶融炉で産廃を処理してきた。
このうち、昨年三月までに四十五万トンを処理したが、処理すべき産廃と汚染土壌が当初見込みの五十万トンから九十万トンへ膨れ上がったことや、特措法の期限(平成二十五年三月末まで)が迫ったことから、少しでも処理を急ぐ必要があった。
そこで国基準二十倍の鉛、同五倍のヒ素など重金属で汚染された土壌については、安く早くできる水洗浄処理へ切り替えた。しかし、同県には土壌汚染対策法に基づく水洗浄処理施設がなく、入札で最安値だった大津市内の業者と契約した。
――県外処理はあり得るのか。
畑 産廃は県内処理が原則。香川県は平成二十二年の時点で「安全性を考慮して輸送距離の短い瀬戸内海沿岸が望ましい」とし、滋賀県は想定外だったはず。ちなみに豊島を上回る規模の青森・岩手県境の産廃不法投棄の産廃処理では、各県内から一切持ち出していない。
加えて、特措法の期限が十年延長(平成三十五年三月末まで)された現在、県外で処理してまで急ぐ理由はない。
――処理費が超安値という。
畑 汚染土壌の処理費用は、相場で一トン当たりの一~二万円とされるのに、大津市内の業者は六千四百五円という超安値だ。
さらに、落札価格から、大阪港~大津間八十キロの輸送費三千円以上(一トン当たりの推定)を差し引くと、わずか約三千円。このような低価格で適切に処理できるのか疑問だ。
――香川県は水洗浄処理の安全性を強調している。
畑 確かに、砂礫(されき)質土壌の重金属は除去されるが、重金属を含む大量の汚泥と濁水をどう処理するか問題となる。
計画では、濁水を沈殿させて水と汚泥に分離し、水は場外に一切出さず施設内で循環利用する一方、汚泥は別会社が処理してセメント原料にするとしている。
しかし、濁水中の重金属の混じった汚泥を完全に沈殿させるのは技術的に難しいし、汚染された汚泥についても、不況の中でセメント業者が引き取りたがらない。
――琵琶湖への影響は
畑 業者と大津市は、洗浄処理した水を循環利用すると説明しているが、排水を外に出さない工場はありえない。
また、万が一あふれ出る場合は、下水道へ流すとしているが、下水処理場は有機物しか処理できないので、いずれにせよ、重金属を琵琶湖へ垂れ流してしまう。
これらの問題点から考慮すると、計画は白紙撤回すべきだ。







