県庁周辺のまちづくりで大津市が議論
◇大津
県都の玄関口でありながら、官公庁やオフィスが集中しているため、休日は閑散とする県庁周辺。大津市の検討委員会は、その一角にある県有の旧体育文化館(武徳殿)について、まちづくりの一環として、再活用の可能性を含めて議論している。同施設は、日本建築史で高い評価を受けながらも、県は老朽化に伴う改修費や維持費の捻出が困難として、平成二十年十二月に閉鎖された。
まちづくりの拠点の活用へ前向きな声が上がっているのは、専門家や市民代表で構成される大津市まちなか資源活用方策検討委員会(委員長=高田昇・立命館大学特認教授)。
同委員会は、県庁周辺の県施設が老朽化で相次いで閉鎖する中、県が地元自治体の大津市に対し、県庁周辺の望ましい将来像を示すよう求めたため、昨年十月に設置された。
旧体育文化館は昭和十二年、武道場として武徳会滋賀支部によって建設されたもので、鉄筋コンクリート造り、二階建て、延べ床面積九百七十六平方メートル。
西洋構造の鉄筋コンクリートに和風外観をのせたデザインは、東京歌舞伎座や旧琵琶湖ホテルを手がけた建築家、三井道雄の設計によるもの。
大津市の聞き取りで、近代建築に詳しい大阪芸大の山形政昭教授は「歴史的にみて全国の旧武徳殿の中で珍しい鉄筋コンクリート造りであり、三井道雄の作品で価値がある」と評している。
ただし、古い建造物のため、構造や、耐震補強に伴うコストが課題だ。
市が実施した耐震診断結果によると、耐震性を確保していたのは、一階部分の張間方向の揺れに対してで、Is値(構造耐震)は一・一三、CTU・SD値(累積強度)は一・五六あった。
そのほかは、二階部分は張間の揺れで構造耐震と累積強度が足りず、桁行の揺れでは構造耐震の数値が、一階部分では桁行の揺れで構造耐震の数値がそれぞれ足りなかった。これに対して市は耐震補強案として、水平鉄骨ブレースと耐震壁で強化する工法(費用三億五千六百万円)を示した。
委員会で高田委員長は、「歴史的建築として重要性がさらに補強されたが、構造やコストなどで多くの課題が伴う。今後、どのように使うかで、(全体保存、部分保存、記憶保存など)選択肢が変る」と述べた。
なお、同委員会は三月下旬、県庁周辺のまちづくりについて最終まとめを検討する。







