五個荘伊野部町自治会
【東近江】 東近江市五個荘伊野部町に住む人々の暮らしと、集落内にある寺、正福寺の関わりをまとめた郷土誌『人々のくらしと正福寺』が、同町自治会から発刊された。今回の発刊で伊野部の郷土誌3部作として完結。2008年発刊の1部作から執筆・編集を担当してきた地元住民の北川純一さん(74)は「伊野部の特徴は神仏を心の形として先祖を敬い、心の拠り所に生活してきた。それがこの3部作の中に流れている。次代に残る本となれば」と話す。
48戸の小さな集落に残る大切な遺産
住民の歩みそのままに
多様化する生活様式の変化などで、集落の良き風習や伝統文化が風化傾向にある。なんとかして次代に伝統の文化を残そうと、同自治会では区民による編集委員会を2002年に立ち上げ郷土誌の編さんに取りかかってきた。08年に地域の歴史文化をまとめた『ふるさと伊野部のあゆみ』を発刊し、20年には本編1部作の補遺として、地域の神社「建部神社」の由緒と文化をひも解いた『鎮守の杜と建部神社』を作成。古文書や文献、聞き取りを参考にしながら貴重な地域の歴史と文化を記録し、地域内外に伝えてきた。
補遺2編となる今作(A4判カラー196ページ)では、箕作山の麓に位置する伊野部の豊かな自然と動物、農村集落として育まれた暮らしや営みを当時の資料や写真でまとめたほか、集落の中心に位置し、500年以上の歴史を持つ正福寺を紹介している。
伊野部には、講組織の存在など農村集落の風習がいまも色濃く残り、地域住民のつながりを強めてきた一つに社寺の存在があった。正福寺は、阿弥陀如来を本尊とする浄土宗の寺院。同書では、寺の歴史をひも解くとともに、通常行事に加え、織田信長に攻め滅ぼされた戦没者を供養する箕作城合戦戦没者追弔会や、高齢者らの集いの場ふれあいサロン、いまも30人近くの児童が通う「てらこや」、乳幼児とその保護者らの交流の場サラナ親子教室など、地域とともに歩んできた同寺独自の行事なども伝えている。
本書後半の正福寺の章を執筆した関正見住職(57)は「ご先祖を敬う住民の方々が大事にされ、その思いが集まる大切な場所であったことを改めて感じた」と振り返る。
また、暮らしと信仰をテーマに、区民に実施したアンケート調査の結果なども同書に盛り込み、時代の流れを記録として残した。
北川さんは「48戸の小さな農村集落だが、寺社を通じた地元の温かい交流、団結があって今につながる。この本を次の世代がどのように活用するか期待を込めたい」と思いを話す。
本書は市内の図書館に寄贈され、貸し出しも行っている。詳しくは、関さん(TEL0748―48―2425)まで。









