「近江牛の販売拡大策を」県内の生産団体らが県に要望
【全県】 近江牛を取り巻く環境が厳しさを増す中、農協系の県内肉牛生産者で構成する県肉牛経営者協議会(沢晶弘会長)など4団体は1日、岡田英基・県農政水産部長に対し、「近江牛の生産頭数増加などで需給バランスが崩れ枝肉販売価格は低迷し、農家経営を維持できない」とし、生産量増加への対策などを要望した。(石川政実)
最近の飼料価格の高止まりや燃料、資材の高騰している中、円安などの影響で食料品の値上げが相次ぎ、消費者が高級牛肉を買い控えし、近江牛のセリ価格が低迷している。
23年の近江牛の月別枝肉セリ価格(キロ当たり)は、最高格付けの和牛雌A5を例に取れば、1月2951円(前年同月比12・2%減)→2月2865円(同13・4%減)→3月2766円(同16・8%減)→4月2919円(同14・2%減)→5月2732円(同14・0%減)→6月2960円(同8・4%減)→7月2718円(同8・9%減)→8月2817円(同5・5・6%減)→9月2900円(同0・9%減)と落ち込んでいる。
なんとか10月になって3132円(同6・3%増)と一息ついたものの、予断を許さない状況だ。生産者からは「近江牛の需給バランスが崩れている」と不安視する声も。
23年2月1日時点の県内の黒毛和種(近江牛用)飼養頭数は、1万5971頭(前年同期比4・3%増)と増加傾向にある。これに伴い滋賀食肉センター(近江八幡市)での咋年の和牛と畜頭数数は7199頭(前年比10・3%)と大幅に伸びている。
県畜産課では「畜産クラスター事業(注)を活用した事業拡大などで、県内の近江牛の飼養頭数が増加したのは事実だが、そのことだけで需給バランスが崩れているとは言えない。この10月から前年同月比が6・3%増と増加に転じており、11月以降はしが割、12月末まではふるさと納税などの需要が見込まれるからだ」としている。
しかし県肉牛経営者協議会の沢会長は「現在の近江牛の飼養頭数は約1万6千頭で10年前に比べ約4千頭増えており、明らかに需給バランスが崩れている。事実、食肉センターは、とくに今年は例年に比べ繁忙期の11月、12月に、と畜解体能力や冷蔵保管能力を超える出荷頭数になり、出荷調整を行って混雑を回避している状況だ。県は販売拡大策や増頭の問題について早急に対策すべき」と反論する。
いずれにせよ県では、持続可能な需給バランスを見極める時期に差し掛かっているようだ。
(注)畜産クラスター事業=畜産農家をはじめ、地域の関連事業者が連携・結集して、国の関連補助事業を利用し、必要な施設整備や機械導入などを行うもの。








