日本財団が美術品を県立美術館へ寄贈
【県】 海洋船舶関連事業支援や子ども支援、障害者支援、国際協力事業支援などに取り組む公益財団法人日本財団(笹川陽平会長、東京都)がこのほど、収蔵していたアール・ブリュット(注)の美術作品43作家549件などを県に寄贈し、三日月大造知事から同財団に感謝状が贈られた。
同財団は、2010年にフランス・パリのアル・サン・ピエール美術館で開催された「アール・ブリュット・ジャポネ」展へ助成を実施。同財団が収集した県内をはじめ全国各地から才能を見出された障害を持つ人や独学の作家らによる作品を「日本のアール・ブリュット」として紹介したところ、12万人以上の来場者が集まり、現地でも大きな話題となった。さらにその後、同展に出展した作品の巡回展を国内各地で実施するとこれも好評を博し、逆輸入的に日本国内でアール・ブリュットが注目を集めるきっかけとなった。
同財団では、これまで収集作品の保存と活用を担ってきたが、「散逸を防ぐためにも専門的に管理できる美術館で保存してもらうべき」と考え、ふさわしい施設の検討を重ねてきた。
一方、県の県立美術館(大津市瀬田南大萱町)は、国内の公立美術館として唯一、アール・ブリュットを作品収集方針の柱の一つに掲げており、2016年から本格的な収集を進めてきた。
同財団は、アール・ブリュットの専門的な学芸員がいる点やしっかりとした保存施設がある点などから「美術品の更なる活用をしてほしい」と県立美術館に収集作品の寄贈を打診、美術館側も収集方針に合致することから寄贈を受け入れることを決めた。
これまで、県立美術館では182件(寄託を除く)のアール・ブリュット作品を収蔵してきたが、今回の寄贈により収蔵数は731件と4倍近くに増加。アール・ブリュットに関しては質・量ともに国内公立美術館としては最大級、世界的にみても有数のコレクションを擁する美術館となった。
寄贈作品の目録贈呈式は県庁知事室で行われた。同財団の尾形武寿理事長から寄贈品の目録を贈られた三日月知事は「アール・ブリュットを大事にしてきた滋賀県として大切に収蔵し、多くの人に見てもらえる定期的な鑑賞の機会などもしっかり取り組んでいきたい」と語り、同財団へ感謝状を贈った。
表敬訪問後、記者団の取材に応じた尾形理事長は「今後、滋賀県立美術館の来館者が気に入ったアール・ブリュット作品から作家のことに思いをはせるきっかけになれば」と期待を語った。
県立美術館では来年4月から今回収蔵した作品のお披露目展示を予定している。
(注)アール・ブリュットとは、正規の美術教育を受けていない人による芸術作品のこと。







