近江鉄道の「活路」こう見る
【全県】 鳥取県東部の若桜(わかさ)鉄道を、地域を活性化することで立て直したIT出身の元公募社長・山田和昭氏(58)が、「上下分離方式」(注)を2024年度から導入する近江鉄道の構造改革推進部部長に昨年2月就任し、同社の運営改善を進めている。そこで地方鉄道で多彩な収益事業を打ち出した山田氏に、手腕をどう発揮するのか聞いた。
近江鉄道構造改革推進部部長に転身
若桜鉄道元社長・山田和昭氏に聞く
――前任の若桜鉄道の立て直しは。
沿線の過疎化を止めるため観光業を立ち上げようと、まず観光列車を走らせるなど外からの誘客に注力した。
また、沿線人口の流出先は鳥取市だったので、運行を改善して地域の「ベッドタウン化」を狙った。
若桜鉄道は郡家(こおげ)駅からJRに乗り入れ、鳥取駅まで直通で結ぶ。単線だから増便は難しかったが、列車がすれ違える施設を設けて、1・5倍の1日15往復を実現した。
路線バスとはタッグを組み、交互に発車させるようにして30分に1本、直通便を利用できるよう計画をつくっていただいた。
――近江鉄道をどうみるか。
車に圧倒的に負けている。まちの構造自体が、鉄道を利用しにくい。例えば、学校や商業施設が駅から遠く、駅が田んぼの中にポツンとあったりする。
今まで「地域は地域、鉄道は鉄道」でバラバラだった。鉄道の性格は、公共的、福祉的、そして殖産的な面もある。地域を豊かにするための鉄道を、地域と二人三脚でつくる時代に入っている。
――若桜鉄道との活性化の方策に違いは。
近江鉄道の沿線人口は27倍の55万人で、産業もしっかりしている。移動需要が十分あるので、「地域の足」として利便性の向上を図るべきだ。
改善点を洗い出すため、沿線市町の協力で、昨年7月から沿線の高校17校、駅から1キロ圏の企業(約40社)を訪問して意見交換しており、今後も続ける。
学生の一定割合が、卒業するまでの3年間で定期を使わなくなっており、ここは集中的に調査研究しないと。
また、通勤者の定期も大切なお客様。一社200人が利用し、年間延べ14万4千人になったケースもある。
――近江鉄道は今後、どう取り組むのか。
鉄道にとって安全第一は当然。そのうえで地域との信頼関係と協業を通じてまちのにぎわいをつくり出すプロジェクト「みらいファクトリー」を立ち上げ、情報発信や沿線のイベント企画を担っている。
――活性化のノウハウを生かし、今後、らつ腕をどう振るうのか。
住民と鉄道が一体となった地域づくりのきっかけとして、堰(せき)を切るのが私の使命。若手社員に経験を伝えて、やる気を後押ししたい。
(注)上下分離方式=駅舎や線路などの施設を自治体(県と沿線10市町)が保有・維持管理し、近江鉄道は運営に専念する。(高山周治)







