大野県議「ケジメつけなければ農水予算はペケ」
【全県】 役員が不祥事を起こした事業者に全国農業協同組合連合会(JA全農)県本部が出荷分の牛の内臓を流通させているとして、自民の大野和三郎県議は昨年11月19日、議運委員長室で「県はJA全農滋賀などが年内中にけじめをつけるようにしなければ農水にかかる予算はペケ。おれは口に出したことはするぞ」と西川忠雄県農政水産部長らをけん制した。だが県は先月14日開会の2月定例県会に当初の来年度予算案を提出した。その舞台裏を追った。(石川政実)
来年度予算案などをめぐり昨年12月21日、大野県議(議会運営委員長)、有村国俊県議(自民党政調会長)は知事室で三日月大造知事と面談した。
大野県議は、役員が恐喝、詐欺で逮捕された企業組合堀川食品に、JA全農滋賀出荷分の牛内臓(ホルモン)が流通していると指摘した上で、コンプライアンスの観点から県は全農滋賀に「説明責任を果たせと主張すべき」と知事に迫った。
三日月知事は「全農の問題は民と民との契約関係でもある。県は説明責任(の要請)を果たす。とはいえ、それらと予算を人質にしたような対応とは違うのではないか。JA(全農)への要請事項と予算は切り離して考えており、県として予算案を議会にお諮りする」と突っぱねた。
大野県議は「そういった実態があるのに県が説明責任を求めない。ゆえにこれに係る予算は認められない」と平行線をたどった。
●内臓取引を継続
ちなみに(公財)滋賀食肉公社が近江八幡市に整備した滋賀食肉センターでは、公社が同センターの運営、(株)滋賀食肉市場が同センターで牛のと畜解体、県副生物組合が内臓処理を行っている。
JA全農滋賀は堀川食品とは古くから取引があり、全農滋賀から出荷された牛は、滋賀食肉センターの滋賀食肉市場でと畜解体された枝肉を全農栗東工場(栗東市)で堀川企業グループの県食品企業組合が各部位に加工する一方、JA全農滋賀から出荷された牛の内臓も同グループの企業組合堀川食品が販売・分配を一手に引き受けていた。
ところが、両事業者の代表である堀川眞智子氏が2019年9月、恐喝未遂の疑いで逮捕された。JA全農滋賀は20年3月、県食品企業組合との契約を解除。この間、堀川氏は責任を取らされ、両事業者の代表を降りた。JA全農滋賀は同年4月、同組合から従業員が独立して設立した別事業者と業務委託契約を結んだ。
JA全農滋賀は、堀川食品の代表が替わったことや、JA全農滋賀、滋賀食肉市場、堀川食品の三者で締結した「いかなる理由でも牛内臓取引の契約を破棄しない」という覚書等を考慮し、堀川食品との取引を継続している。
●全農、県に不信感!?
一方、大野県議の要請を受け昨年11月9日、県の西川部長、宇野良彦理事はJAビル滋賀(写真)に竹村敬三・JA全農滋賀運営委員会長らを訪ねた。
西川部長は「牛の内臓処理適正化のため、全農滋賀にコンプライアンス上問題のある特定事業者との契約関係を見直してもらう必要があり、しかるべき時期に関係にけじめをつけることを強く願う」と切り出した。
県は20年度のJAグループへの補助金決算一覧表を事前にJA全農滋賀に手渡していたため、全農滋賀は「関係にけじめをつけなければ県は補助金を止めるのか」と質した。
西川部長は「来年度予算とは関係ない」と釈明に追われた。
県に不信感を抱いたJA全農(東京本部)とJA全農滋賀は今年1月11日付けで弁護士事務所を通じ事実確認の照会文を県に送付し、県は2月1日付で回答した。
JA全農滋賀関係者は「今回の問題で、竹村会長はやつれ果てて相当参っていた。しかし補助金を止めるなら、止めたらいいと腹をくくった。補助金は、農業生産者の支援に使われており、これを止めたら生産者は本気で怒りますよ」とぶぜんたる表情だった。
そして、県は2月14日の2月定例県会にJAグループの補助金(4億円)も計上した来年度予算案を提出し、中央突破した。現在、県議会で審議中である。
自民党県議団代表の奥村芳正県議は「全農が説明責任を果たさなければJAグループの補助金を認めないことを会派や政調会で決めたことはない」と語る。
大野県議は本紙取材に「JA全農滋賀出荷分の牛内臓が滋賀食肉市場を通じて、実態的に企業組合堀川食品に流通していることについて、私はあくまで県が筆頭株主の同市場に対して指導するよう三日月知事に伝えたもの」とし、JA全農滋賀への直接の要請の有無について、否定的な見解を示した。
●脅迫未遂事件は無罪
このような中、堀川眞智子氏の脅迫(罪名が恐喝から脅迫に変更された)未遂事件は1月12日に大津地裁長浜支部で無罪が言い渡され、同26日に確定した――。
(注)なお堀川氏には、長浜市営住宅の賃貸契約の虚偽申請で詐欺事件があるが、大津地裁長浜支部で有罪判決になったため、無罪を主張して控訴中だ。







