作者の遺族らが県に修繕と保管を訴え
【大津】 休館中の県立琵琶湖文化館で県が所蔵している県ゆかりの画家・杉本哲郎氏(1899~1985)の描いた壁画の存亡が注目を集めている。
このほど、哲郎氏の孫の杉本太郎氏(大津市比叡平3)らが県庁で記者会見を開き、県に壁画の修繕と新設される琵琶湖文化館の後継施設での保存・展示を訴えた。
哲郎氏は大津市出身。京都や滋賀を中心に全国で作品を制作した。仏教をはじめ世界の宗教世界観などを多く描いたことで知られ、その業績をたたえ、1976年にブラジル政府から国際文化勲章、83年に県文化賞、84年に京都市文化功労者表彰が贈られている。
戦後の1949年、哲郎氏は当時の服部岩吉滋賀県知事からの依頼で県立産業文化館の壁に幅14・5メートル、高さ4メートルの壁画「舎利供養(しゃりくよう)」を制作した。仏像の背後に広がる世界観を描いた作品で、その後、県立琵琶湖文化館別館に壁ごと移設された。当初は一般に公開されていたが、81年に別館が閉館したのにともない、一般的な展示観覧ルートから外れ、さらに2008年には、老朽化などを理由に本館も休館となり、約40年間、作品は県民の目に触れることがないままとなっている。
太郎氏は「祖父は、多くの県民に作品を見てほしいと望んでいた。このままでは、知らない間に壊されるのではないかと不安だ。一刻も早く修復し、しかるべきところに保存してほしい」と語り、国内外の研究者らと「杉本哲郎画伯顕彰会」を立ち上げて県の今後の対応を注視していくとしている。
県立琵琶湖文化館は、今年2月、大津港近くの浜大津エリアに後継施設が建てられることが決まった。県文化財保護課は本紙の取材に対し、「琵琶湖文化館は後継施設の建設場所が決まったばかりで、収蔵品の移管などについてはこれから本格的に検討していく」とし、「壁画についても、作者や関係者の思いも含め、移設による作品への影響や後継施設の機能、課題などとあわせてしっかり検討していきたい」としている。






