水源の森の巨木群を民間グループが所有して自然保護
【長浜】 長浜市木之本町の杉野川源流地域でトチノキ巨木群の保全を目的に活動している「びわ湖源流の森林文化を守る会」(嘉田由紀子共同代表)がこのほど、トチノキを所有するために募っていた募金が目標額に到達し、保全活動が次のステップに進めることになったことを報告した。
同地域は、4ヘクタールほどの範囲にトチノキの巨木が集中しており、ブナやミズナラとともに落葉広葉樹林を形成し、希少な動植物も生育しているなど豊かな自然環境を残してきた。
2014年、業者による立木の伐採が行われる予定だったが、当時、県知事を務めていた嘉田代表が保全に乗り出し、県と研究者、地元住民らが協働で伐採回避交渉を始めたが、物別れとなり、16年に業者が立木の所有権を主張する裁判を提起した。同年、これまで活動してきたメンバーや以前に高島市の安曇川流域や長浜市の高時川流域で巨木群保全に取り組み、伐採回避の経験を蓄積していた住民らが結集して同会を発足し、「蛇口のむこうにトチノキ巨木群を見てください!」を合言葉に広く水源の森保全の呼びかけを行ってきた。
18年6月、裁判は終了し、7月から同会では裁判にかかった費用と立木の所有権を獲得するための費用を募るナショナルトラスト運動を始めた。
活動を「巨木トラスト」と名づけ、目標金額を1400万円と設定して発信したところ、全国から募金が集まり、最終的に目標金額を上回る1557万1775円に達した。全体で436団体、住所が判明している個人389人から募金があったほか、高島市の「トチノキまつり」や自然観察会といったイベントで呼びかけたカンパにも100人以上から協力があった。
同会では、同地域のトチノキの立木40本を購入し、会として所有権を有した。今後、保全活動の一環として巨木林を探勝する仕組みの構築や観察会の開催、植生の分布調査など学術研究フィールドとして活用していく手法を模索していくとしている。
記者会見で「巨木トラスト」が目標金額に達したことを報告した嘉田代表は「巨木の所有権を取得することで自然を守っていくという取り組みは、日本中に同じような事例が多くある中で、新しいモデルが出来たのではないか。地元の意向を大切にしながら、これからも貴重な自然の保全を継続していきたい」と意気込みを語った。






