3区妖気漂う注目選挙区
なるか?知事選の再来
七月の知事選の後遺症が焦点になっている。人口増加が続き、無党派層が多い3区(草津市、栗東市、守山市、野洲市)には、再選を目指す自民前職の武村展英氏(42)に、知事に転身した三日月大造氏の後継に選ばれた民主新人の小川泰江氏(51)と、共産新人の西川仁氏(67)が挑む三つ巴の戦いとなっている。ここの戦況が他の三選挙区に波及するだけに、目が離せない注目選挙区である。
●背後霊との戦い
「うちが戦っているのは、小川氏でなく、同氏の背後霊のように後に控える三日月知事と嘉田由紀子前知事だ」と武村陣営の総括責任者、奥村芳正県議は背広の胸ポケットから手紙を取り出した。
『私は、共に歩み、共に行動してきた同志が、国政で奮闘してくださることを、滋賀県のためにも活躍して下さることを期待しております』。三日月知事は、小川氏らへの支援を求める手紙を自らの後援会などに約二万四千通郵送したのだ。
奥村氏は「三日月知事が定例会見で『知事として中立』と答えていたはず」と憤る。また、嘉田氏については「知事を辞めて大学の学長になったばかりなのに、選挙にのめり込みすぎ」とも。一日の代表質問では、手紙問題が取り上げられた。
前回の衆院選では、武村氏が三日月氏に約四千五百票上回る約五万七千票で当選。しかし先の知事選では3区は、自民推薦の隆史氏が、三日月氏に約一万三千票差で負けた。
奥村氏は「小川候補に約一万三千票差をつけられてのスタート」とし、無党派層への攻勢を強める。このため公示後の個人演説会は一日一か所程度にとどめ、午後六時から九時まで駅立ちを行って、「アベノミクスで経済再生」を訴える。先月三十日にはJR南草津駅で菅義偉官房長官が応援演説をするなど、知事選をほうふつとさせるように大物弁士が相次いで駆けつける。
●来ました!政治の母
まさにシンデレラウーマンである。三日月氏の知事転出で空席になった民主の3区。いきなりの解散を前に、候補者が見当たらず、来春の県議選に意欲を示していた前守山市議の小川氏に白羽の矢が立った。同氏は、嘉田氏の地域政党「対話の会」に所属し、嘉田氏が塾長の未来政治塾の事務局長も務めるなど、嘉田氏の秘蔵っ子だが、知名度不足は否めない。
小川氏は先月二十九日、地元守山市からキックオフ集会を開いたが、同氏の後援会長の嘉田氏が初めて応援に駆けつけて、「(小川氏の)政治の母として来ました」と支持を呼びかけた。
さらに三十日には、JR草津駅で未来政治塾の塾生らが小川氏とリレートークを行ったが、ここにも嘉田氏が顔を出した。
その塾生の一人は「塾生の先輩である女性市議が野洲市の自民党県議からパワハラを受けたとされる問題で、同党の野洲連協から、被害を受けた女性市議を党紀委員会で除名処分すべきとの要請を受けた武村氏(3区支部長)が同党県連役員会に諮ったが、一蹴されて支部に差し戻された。女性として武村氏に勝たすわけにいかない」と腕をぶす。
民主・連合滋賀、三日月後援会、三日月知事を誕生させた「チームしが」、未来政治塾生、勝手連など、ごった煮の集団が連動するかが鍵。三日月後援会に火がつけば、3区から民主に風が吹くことも。
●個人演説会を再評価
市議八期、県議一期の実績を誇る共産の西川仁氏が、前回同様、衆院選に挑んでいる。
「今回の選挙の争点は、一番目は経済対策で、アベノミクスの破たんから抜け出すためにも消費増税をきっぱりと中止すること。二番目は集団的自衛権を許さず憲法九条を守ること、三番目が原発再稼働に反対すること、四つ目が政治とカネの順」と語るのは共産党湖南地区委員会の石堂淳士委員長。
3区にある同党の三十数支部を中心に、後援会員五千人に呼びかけて、西川候補と市会議員十一人がミニ集会や街頭演説を展開中だ。
石堂氏は「3区は無党派層の若者が多いだけに、街頭では『戦争をする国になるのは嫌だ』『非正規雇用に歯止めをかけて、働く者のためのルールづくりを』といった切実な声をよく聞く」と言う。
今回、大きく戦略を変えたのは個人演説会を重視したことで、一日二~三会場ペースで開催している。集団的自衛権やアベノミクスの破たんなど、分かりにくいテーマを丁寧に説明していくためだ。
党本部も滋賀に力が入る。公示日の二日、市田忠義同党副委員長がJR大津駅で訴えたのに続き、3区では六日夜、守山市の市民交流センターで比例近畿候補の宮本岳志氏を迎えて共産党の演説会を行う。比例は二万四千票(比例)が目標だ。
(石川政実)
4区 武藤・岩永・徳永の大混戦
比例ねらう西沢も参戦
滋賀4区(近江八幡市、旧愛東町・旧湖東町を除く東近江市、甲賀市、湖南市、日野町、竜王町)は、自民前職の武藤貴也氏(35)と維新前職の岩永裕貴氏(41)、元参院議員で民主新人の徳永久志氏(51)、共産新人の西沢耕一氏(36)の四氏の立候補で、県内一の激戦区に。民主と維新の野党間調整もないままのガチンコ勝負突入で、有権者にとっても選択肢の多さが、はたしてどの陣営に有利に働き、どんな結末が待っているのか、注目される。
前回トップ当選の武藤氏は、支援企業や団体、後援会など組織票を固め、動員のかけられる個人演説会や十二日に開く大集会で二年間の代議士活動の実績を訴える。
岩永氏は、前回の比例復活当選では、選挙区の対応が十分にできなかった悔しさから、今回は選挙区での当選を目指す。徹底した地域密着。街頭で有権者に訴え、声を聞く。
参議院から鞍替えの徳永氏は、甲賀・湖南で引き継ぐ民主の地盤に地元近江八幡で上積み、連合との政策協定に、知事選を制したチームしがとの化学反応で、議席奪還狙う。
比例重視の西沢氏は、消費増税中止で「自共対決」をアピール。前回票に八千票上乗せの約二万票を目指す。街頭の訴えと電話作戦で、従来の支持層以外への拡大を図る。
(松村好浩、高山周治)






