子どもたちのチームづくり 大人はコーディネート力を
◇東近江
子どもたちの自主性を重視した指導方法で選手個人の能力とチーム力を高めようという「ボトムアップ理論」に、東近江市の蒲生サッカースポーツ少年団(改田俊次監督)を中心とした県内の少年サッカーチームが取り組んでいる。十月には三チームが参加して「ボトムアップCommunityU―12」が東近江市内で開かれた。 (松村好浩)
「ボトムアップ理論」は広島県立安芸南高等学校サッカー部監督の畑喜美夫氏が実践し、前任校の県立広島観音高校サッカー部をインターハイ優勝に導いた。県内でも昨年、この理論を取り入れた綾羽高校サッカー部が、強剛の野洲高校を破って県大会で優勝するなど、結果を出している。
何も考えず毎日厳しい練習を続けることでサッカーが上手くなってチーム力を向上するのではなく、選手一人ひとりが自分はチームが強くなるために何をすればいいのかを自分達で考え、目的をもって行動することでチーム力が上がる。
今回の「ボトムアップCommunityU―12」では、少年サッカーの指導者であり学級経営でもボトムアップ理論を実践し、各方面への普及に取り組んでいる京都府亀岡市の小学校教諭、橋本和人氏を講師に招き、二日間にわたって子どもたち約五十人と指導者、保護者が、理論習得の研修を行った。
蒲生サッカースポーツ少年団(東近江市)、甲南第一サッカースポーツ少年団(甲賀市)、レークウエストJFC(大津市)が参加。コーチからの指示に従ってウォーミングアップやゲームに臨んでいる子どもたちに、橋本氏から「きょうはコーチから指示・命令はありません、自分達で考えてやってもらいます」と伝えられ、ボトムアップ方式でのゲームが始まった。
まず、チームごとにファシリテーター(司会・リーダー)を中心にゲームで何をがんばるか(シュートで終わる、セカンドボールを取るなど)についてミーティングで決め、ゲームへ。前半終了後のハーフタイムには相手チームと合同ミーティングで、互いに相手を評価しあって、それを参考に作戦を修正し、後半を戦う。自分達だけでは見えないものも見えてくる。
午後からはあかね文化ホールで、二日目のための混成チームづくりを「ボトムアップチームビルディング」プログラムで行った。
サッカーの試合でボールに触っている時間(オンザボール)は極めて短く、触れていない時間(オフザボール)の方が圧倒的に多い。オンザボールの練習ばかりでなく、オフザボールの練習が重要で、しかも、サッカーは一人では強くなれず、チームプレーが必要。一日に置き換えれば、サッカー以外のところの日々の生活習慣がプレー上達につながるということに。
そこで、目隠し数かぞえ(目隠しをして1から30まで一人ずつ順番に言うことができるか)やヘリウムフープ(全員で人さし指にフラフープを乗せて下まで下げられるか)などの単純で難しいゲームから、成功させるために何が必要かを全員が息を合わせて取り組まなければならないことを、楽しみながら学んだ。
続く講演「子どもを伸ばす大人の取り組み」には指導者・保護者も加わり、自ら「観て」「考え」「気づき」「判断し」「仲間と」「行動する」子どもたちの育成、さらに個人と組織の成長に向けた理論について理解を深めた。
講演の中で、トップダウンとボトムアップの違い、グループとチームの違い、チームづくりの行程での大人の陥りがちな失敗、信頼は技術と人間力で得られる、計画―失敗―共有―挑戦―計画……いつか成功(PDCA)を繰り返しながらの成功体験が挑戦への意欲になる、子どもたちにどれだけ経験させてやるかが大切で大人がその環境を用意してやる「コーディネート力」が必要、「子どもを認め、任せる、考えを引き出してあげる、考えさせる」ことが大事、「見守る」でなく「観守る」――などと解説し、子どもたちの変化(成長)には大人も変化が必要で、共に楽しみながら成長して行きたいと締めくくった。
二日目のトレーニングでは、子どもたちがコーチから指示されることなく、スケジュールを考えてウォーミングアップや試合に勝つためのミーティングをはじめるなど、早速、ボトムアップ理論の実践が始まり、コーチや保護者は子どもたちの姿をじっと観守った。
改田監督は「サッカーは私生活で上手くなるなる。サッカーはあくまでツールです」と話し、子どもたちのたくましい成長に夢を膨らませた。









