三日月氏 知事選勝利を追う(11)
◇全県
「自民党県連は先月二十六日に役員会を開き、上野賢一郎衆院議員から先の知事選敗北の責任を取って県連会長を辞任したいという申し入れがあり、承認した。マスコミでも大きく報じられた。その舌の根も乾かない中で、今度は『上野氏再任』では茶番劇だと県民からそっぽを向かれかねない」と声を荒げたのは杉浦和人・日野町議会議長だった。
これは、自民党県連がこの十五日に開いた総務会・役員会で、佐野高典・県連幹事長らが県連会長に上野賢一郎氏を再任する人事案件の了承を求めた一場面である。
結局、賛成多数で県連改革に意欲を見せた上野氏が会長に選ばれた。
ある県議は「当選回数三回の有村治子女性活躍担当相や二回の上野氏以外は、みんな一年生の国会議員ばかり。来年の統一地方選を仕切るには豊富な経験がある上野氏の再登板は妥当」と受け止めていた。
県連会長の人選は、事実上、五人の国会議員の協議で決められた。
上野氏が会長辞任を表明した段階では、後任には『知事選の敗因は選対本部長(当時)の吉田清一県議と県連幹事長(同)の家森茂樹県議の戦略ミス』と批判した大岡敏孝衆院議員が有力だった。
その大岡氏は「有村氏を除く五人の国会議員が後任問題を協議した。武藤貴也衆院議員は新しい会長を求めたが、上野氏がが然会長続投に意欲を見せた。そこで私は上野氏に『会長になって何がしたいのか』を明確にするよう要請した。これに応えて上野氏は県連改革に強い意欲を見せたので、みんなは了承した」と語る。
しかし杉浦議長は「辞任した上野氏を再び会長に押し戻したのは、大岡氏を恐れる有力県議の意向が働いたからだ」と指摘する。
知事選敗北の責任を取って先月十二日、県議会にある二つの自民党会派のうち、最大会派の自民党県議団の会派代表である吉田氏、副代表の家森氏がそれぞれ辞任したが、これはあくまで一会派の問題に過ぎない。吉田、家森両氏は県連では依然として副会長であり、上野氏の県連会長再任と併せて知事選を仕切ったA級戦犯三人(影の指南役の清水克実・県連事務局長を加えると四人)の県連での位置づけはなにも変わらない。これが県連の実態だ。
平成二十一年七月の衆院選では四つの小選挙区で全て敗れたため、危機感を募らせた県連が同年十二月、「党再生報告書」をまとめた。
報告書は、敗因について(1)自民党としての「理念」や「ビジョン」が欠落(2)長期政権に胡坐(あぐら)をかき、国民感覚とのズレに対し無自覚―と分析。さらに「党の政治的姿勢は『上から下へ』の視点での言動が目立ち、尊大な印象を与えた」とした。
「自民党」を「自民党県連」に置き換えれば、今回の知事選の敗因にぴたりと当てはまる。 この報告書を精力的にまとめたのが皮肉にも、当時、県連党再生委の委員長であった上野氏や吉田氏だった。 大岡氏は「あの報告書から五年間、結局、県連は全く反省も改革もしてこなかった。はたして上野県連会長にそれができるのか、お手並みを拝見したい」と冷めた表情だった。
(石川政実)
=連載終り=







