チョウの研究家・内田明彦氏が湖北、湖西の山で目撃!!
内田さんは「これまでも年によりマイマイガの幼虫が多く見られることはあったが、今年は今までとはレベルが違う。森に入ると『ざーっ』と雨音のようなのが聞こえてきたが、それは幼虫のフンの落下音だった。私よりも長く県内の昆虫を観察してきた仲間も驚いている。マイマイガは、広食性で、餌(えさ)はブナ科だけではないが、ブナ科がまず最初に被害にあっているようで、次いでカエデ科などを好むようだ。食い尽くしてくると周囲の草木に移るために、樹幹に降りてくるものと思われる。また、リョウブ、サルナシ、オニグルミや常緑カシ(旧葉)などは嫌う傾向があり、ほとんど食害を見なかった」と話している。
写真(参照)は内田氏が撮影したものだが、(1)の写真は高島市マキノ町のブナの大木を覆うマイマイガの幼虫(大きな毛虫)。(2)は、ほぼ葉を食い尽くされたブナの全体である。
(3)は、長浜市の岐阜県境付近の稜線だが、ほとんど冬枯れのようになっているのは、ブナとミズナラの木。(4)は、葉を食い尽くされて冬枯れ状態のようになったミズナラである。
また写真にはないが、標高の低いところでは、マイマイガの幼虫の成長が早く終わり蛹(さなぎ)になり食害が収まると、新たな芽吹きが始まり、時ならぬ新緑の景観も見られた、とのことである。
県森林保全課は「昨年から県内の山林でマイマイガの幼虫による食害が広がっているとの報告を受けている。とくにコナラの被害が多く、ヤシャブシらの木もやられている。葉が食われて枯れたようになるが、木を枯らすことはない。事実、今年も七月中ごろを過ぎると新しい芽が出て青々と木が復活している。二~三年の周期でマイマイガの大量発生がおさまるとされており、来年も注視して必要なら対処したい」と語っていた。
しかし内田さんは「葉は確かにまた芽が出てくる。しかし、ブナ科樹木は五~七月に花穂や若い実を付けるが、今年は、マイマイガが花穂や若い実まで食害しているものが多く見られる。このため、ブナの実やドングリ(ミズナラ、コナラなどの実)やクリ(これらは、すべてブナ科)などの実りに悪影響があると考えざるを得ない。ブナ科の堅果(かたく乾燥した果実)は、ツキノワグマなどの重要な食餌(しょくじ)となるため、腹を空かせた個体が移動などで、人間の生活圏へ現れる可能性が高まるのではないか」と懸念を深めている。(石川政実)










