絵馬復元プロジェクト
◇大津
成安造形大学附属近江学研究所(大津市)はこのほど、日吉大社所蔵の長沢芦雪筆の「猿図」絵馬の復元模写のプロジェクトをスタートさせた。
この絵馬は、江戸時代、円山応挙の弟子として京都で活躍した絵師長沢芦雪が三十九歳の頃に描いたもの。
猿の親子が描かれ、ほぼ剥落(はくらく)しているものの落款部がはっきりと残り、芦雪の作だと考えられている。
近江学研究所は昨年度から取り組んできた「近江の絵馬現況調査」の中で、この絵馬の存在を知り、日吉大社の全面的な協力で復元模写の機会を得たもの。
絵馬の復元模写には、同大学美術領域日本画コースと附属研究機関である近江学研究所が協働で取り組む。
ちなみに日吉大社の長沢芦雪筆「猿図」絵馬は、親子の猿を描いたもので、落款から江戸後期の京都の画家長沢芦雪(一七五四~九九)が寛政四年(一七九二)に描いたものと判明。
画面の剥落が著しく図様も定かでないため既に美術的価値は失われているが、朱文氷形「魚」印の欠損の有無により、記年銘の希少な芦雪作品の年代を分ける指標となる作例として重視されてきた作品である。
また、奉納者である藤井正脩は、広島城下一の呉服商富士屋の一族で、その京都店の三代目主人である。芦雪が寛政六年に広島に出向き、多くの作例を当地に残すこととなるキーパーソンがこの藤井正脩であったことを知らせてくれる点においても、本絵馬の資料的価値は高い。
芦雪は写実的な作風で知られる円山応挙の弟子で、師の様式に基づきながらも、動きのある、意表をついた奇抜な作風で知られる。和歌山県の無量寺、成就寺、草堂寺の襖絵がとくに名高い。







