三日月氏知事選勝利を追う(1)
集団的自衛権に"待った"
滋賀のことは滋賀が決める
◇全県
滋賀県民は、集団的自衛権の閣議決定など、暴走する安倍政権に「待った」をかけた。そして、「滋賀のことは、滋賀県民が決める」と政権総ぐるみの選挙に「ノー」をたたきつけた。滋賀から、草の根民主主義を守る風が吹き始めた。平成二十六年七月十三日、東京の永田町と霞が関に衝撃が走った。(石川政実)
「今回の勝利は、次の日本の歴史の始まりです」。元衆院議員の三日月大造氏(43)の初当選が決まった直後のあいさつで、最大の功労者でもある滋賀県知事の嘉田由紀子氏は満面の笑みを浮かべた。
「母がここまで熱心に後継者指名した三日月さんを応援するとは思わなかった。母は(自民党から)攻撃を受ければ受けるほど、応援に熱が入っていった」と次男の嘉田修平氏は苦笑する。
自民党と公明党が推薦した元経済産業省官僚の小鑓(こやり)隆史氏(47)の応援のため、石破茂自民党幹事長や麻生太郎副総理など総勢約百三十人(延べ約二百人)の国会議員を投入し、県建設業協会や農協など各種業界団体を締めつけた。いまだかつて例を見ない“空前絶後”の異様な知事選だった。
「安倍政権がなりふり構わず小鑓氏のテコ入れに入ったのは、福井県などの原発再稼働のために滋賀県知事選で勝利し、脱原発運動の息の根を止めて十一月に任期満了になる福島県知事選でも勝つことだった。もし滋賀県で負ければ、福島県、沖縄県の知事選がドミノ倒しになる怖れがあるからだ」と民主党県議は受け止めていた。
嘉田氏が五月七日に引退表明するまで、自民党が敵として想定していたのは同氏だった。原発を段階的になくしていく「卒原発」を掲げる嘉田氏に、自民党県連がぶつけたのは、原発推進の総本山である経済産業省の元官僚、小鑓氏だった。
そこには、二年前の衆院選、昨年の参院選で勝利した自民党の自信とおごりがあった。
逆に嘉田氏も絶対に負けるわけにはいかなくなる。
今回の選挙は、集団的自衛権の閣議決定や原発推進に舵を取る安倍政権への信任投票でもあった。共産党推薦の坪田五久男氏(55)の票を足せば、投票した有権者の約五割五分が選んだ答えは「ノー」だった。
圧倒的な物量作戦で臨んだ小鑓陣営は、今回の知事選でなぜ負けたのか、次回から最大の謎を検証してみる。







