盛り上がり見せる13日投開票の知事選
競り合う小鑓氏と三日月氏
大編隊を組んだ大型爆撃機が一斉投弾する「絨毯(じゅうたん)爆撃」とは、このことを言うのだろう。元経済産業省官僚の小鑓(こやり)隆史候補(47)=自民、公明、日本維新の会県総支部推薦=の応援のため、自民党の石破茂幹事長など党本部幹部や閣僚級の国会議員が連日湖国入りし、最終的には「国会議員は延べ二百人」(小鑓陣営の吉田清一・選対本部長)に達する"空前絶後"の政権総ぐるみ選挙だ。【石川政実、高山周治】
●凄惨なオセロゲーム
相手の駒をひっくり返して陣地を奪い取るオセロゲーム。それを見せつけたのが、先月二十二日に大津市民会館で開かれた小鑓氏の決起集会だった。“ガンバローコール”で壇上に上がったのは、なんとJR西日本の佐々木隆之会長ら同社幹部だった。
三日月大造候補(43)の衆院議員時代(民主党)は、JR西日本の組織候補として労使ぐるみで応援してきたのが、今回は、会社が小鑓氏、労組が三日月氏と分断されたのだ。
自民党中堅県議は「党本部が日本経団連を通じてJR西日本に要請したのだろう」と受け止めていた。
県内入りした国会議員は、三月の麻生太郎副総理から延べ百人を超え、閣僚も甘利明・経済再生担当大臣、茂木敏充・経済産業大臣など枚挙にいとまがない。
党本部が直接、各界トップに支持を要請する一方、各業界・職域団体とつながりの強い国会議員が来県して、支持浸透を徹底している。
先月二十三日、県建設業協会の総会で、同業界候補の脇雅史参院議員が「全国に先駆けて(国から予算を)持って来るぞ、とならないといけない。そのためにも知事選はがんばらんといけない」とゲキを飛ばした。
●譲れない"卒原発"
さらに小鑓陣営が虎視眈々(こしたんたん)と狙っているのが関西電力票。
段階を踏んで原発をゼロにする「卒原発」を掲げる嘉田由紀子知事を継承する三日月氏。同氏が関電滋賀支店幹部に出馬のあいさつに行ったところ、「“卒原発”では、労使とも今回は応援するわけにいかない」と突き放されたという。
これに対し三日月氏は「“卒原発”は絶対に譲れない。会社が応援しないのは承ったが、会社が労組まで応援させないのは僭越(せんえつ)ではないか」と応酬。その後、関電労組から「今回は推薦できない。だが連合滋賀が三日月氏を推薦することに異は唱えない」との連絡が入った。
しかし連合滋賀の松元光彦本事務局長は「関電労組が小鑓氏に走ることはまずない」と意に介さない。
三日月陣営の政策集団「チームしが」幹事長の今江政彦県議は「閣僚級が来て、自民の推薦する知事でないと補助金が出ないと言うのは、利益誘導型の金権政治復活だ」と憤る。
「中央からやみくもに人を呼ばず、地道に嘉田県政継承を訴えていく」と嘉田頼み。五日、六日は、市民団体等が七夕集会を開く。
●防衛と防災の要
「石破茂・自民党幹事長が先月二十六日、草津市内で行った出陣式で、『滋賀は防衛と防災の要』と訴えたが、防衛とは饗庭野(高島市)の自衛隊駐屯地、防災とは福井県の原発に対するものだ。福井県の隣接県(滋賀県)の知事は原発推進であるべきと本音が出た」と指摘するのは、共産党県常任委員の坪田五久男候補(55)=共産推薦=の選挙母体、“明るい滋賀県政をつくる会”の清水俊朗事務長。
日本を戦争する国に変える集団的自衛の閣議決定で、沖縄の基地軽減のために饗庭野が要になると警戒する。
先月十日に応援弁士で訪れた元日弁連会長の宇都宮健児氏も「集団的自衛権が容認されれば、今後は戦死者が出る」と警鐘を鳴らした。
また安倍政権は原発推進のために福井県の原発再稼働が至上命令で、政権挙げて小鑓氏を応援をしていると見る。
「今後は、知事選であっても国政の問題である憲法に反した集団的自衛権の問題、脱原発、県政では新幹線新駅よりもくらしの予算―の三点を中心に訴えていく」構えだ。
この三日には副委員長の市田忠義参院議員が応援弁士として駆けつける。
なお、選挙の中盤戦は、小鑓氏と三日月氏が激しく競り合い、これを坪田氏が追い上げる展開だ。









