IT利用実態調査など踏まえ モラル教育重点に対策へ
◇大津
大津市は、インターネットを使った「ネットいじめ」が青少年で深刻化しているのを受けて、ネットいじめ対策検討事業を新年度予算案に盛り込み、開会中の市議会に提案している。ネットいじめに特化した対策を検討するのは、県内自治体では初めて。有識者と教員、警察、保護者、関連企業による(仮称)ネット対策協議会で平成二十六年度中に対策を検討し、二十七年度から具体的な対策を実施したいとしている。【高山周治】
ネットいじめとは、携帯電話やパソコンを通じて、インターネット上のウェブサイトの掲示板などに、特定の児童、生徒の悪口や誹謗(ひぼう)・中傷を書き込んだり、メールを送ったりして、特定の子どもを孤立させるもの。
目で見えるいじめと異なり、携帯電話などのインターネット上で行われるため、保護者や教師などの身近な大人が把握するのは難しい。他県では書き込みだけでなく、いやがらせの写真をアップする悪質な事例も出ている
同市の実態は、昨年四月から十二月までに寄せられた相談四百九十一件のうち、ネットいじめに関するものは二十四件(中学生が大半)と、今のところ、全体の割合では少数にとどまっている。
しかし、「この数字で安心してはいけない」と警鐘を鳴らすのは、同市いじめ対策推進室の藤本竜也室長。表面化しないネットいじめの性質上、氷山の一角かもしれないからだ。
藤本室長は、「ネットいじめは、加害者側の子どもらによる嫌がらせやいじめが、表面化しないうちに一気にエスカレートし、被害者を追い込んでしまい、周囲からの救済が手遅れなってしまう。加害者が軽い気持ちでも、被害者は言い返せず、大きなダメージを受ける」と指摘する。
さらに中高生の間で深刻化しているのが、無料メールアプリ「LINE(ライン)」による「ラインいじめ」。昨年夏、呉市で専修学校の女子生徒が遺体で見つかった暴行事件でも、LINEによるやりとりがトラブルのきっかけになった。
背景には、誰でも閲覧できる「2ちゃんねる」などのネット掲示板と異なり、LINE上の会話は電気通信事業法により「通信の秘密」により守られる「密室性」にある。
ネットいじめを防止するため、全国的にはネットパトロールを実施する教育委員会もあるが、イタチごっこになってしまいがち。ましてグループだけでやりとりするLINEは監視不可能で、抜本的な解決にならない。
このため、大津市は「自発的にいじめをやめさせることのできる児童、生徒を育成することが必要」として、モラル教育を重点に置く。
対策協議会では、市内青少年のIT利用状況を調査し、地域の実情に応じた対策を検討する。さらに市内公立全小中学校を対象にITリテラシー(活用能力)教育を実施する。具体的には、児童・生徒だけでなく、保護者や教員も含めた研修を実施し、ルールのあるIT活用を啓発することにしている。







