安倍政権の改憲姿勢に警鐘鳴らす
◇大津
「虚構のナチズム」などの著書があるドイツ文学者、評論家の池田浩士氏(京都大学名誉教授)が六日、「国を愛する心と憲法9条 身近なファシズムを考える」をテーマに、大津市の堅田教会で講演した。
同氏はこの中でカール・フォン・クラウゼヴィッツの著書「戦争論」(一八三二年)の記述「戦争とは別の手段をもってなされる政治の継続である」を引き合いに出し、「国家が戦争をする時は『平和のため』という常套文句を用いる。政治の延長に戦争があるところから出発すべき」と警鐘を鳴らした。
また、戦前のナチス・ドイツに触れ、「一握りの絶対権力者が暴力、弾圧で戦争へ国民を投入するのではない。国民がヒトラーに独裁政治をやらせた」と述べ、具体的にはヒトラー率いるナチ党(ナチス)が一九二九年の世界大恐慌を境に党勢を拡大した背景に、同党が掲げた排他的(ユダヤ人の排除など)な「経済復興」「愛国心」に飛びついた大衆の支持があったと指摘した。
一方で、当時のドイツ共和国の憲法で、男女平等など人権を重視する「憲法らしい憲法」と評するワイマール憲法について、「人権に関わる条項の効力を停止できる大統領緊急令が欠陥だった」とした。
これらのことから「国民は憲法の理念を実現するのは国と思っているが、国が憲法を実践することはありえない。国民がファシズムの主体になり、憲法の主体にもなる」と看破した。
日本国憲法についてもワイマール憲法同様に、「国を何よりも大事とする愛国心の発想はない。どういう社会をつくりたいか、どういう人間関係をつくるかであって、自民党のように国を豊かにし、強くする発想はない」と指摘し、憲法を今後生かすため「(国民が主体になって)何を理念にしているのか考えないといけない」と締めくくった。
本紙は講演会終了後、池田氏に憲法問題についてインタビューした。この中で同氏は「自民党は今回の参院選で戦略的に改憲を争点にしていない。しかし、参院選で議席を多数とれば、積極的に政治日程にのせていくだろう」と語った。
また今後、真価が問われるとした「九条の会」として「国の力よりも、一人ひとりの豊かな生き方を実現するための人権条項など、日本国憲法が全体としてどんな社会をつくろうとしているか捉え直す必要がある」と提起した。
9条改憲に深く関わる日米同盟については「政治の延長に軍事があると述べたように、アメリカ主導の軍事同盟である日米同盟がある限り、(日本は)必ずツケを払わされる」と危惧した。
憲法9条
1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。







