法規制より見守りの環境整備求める
◇大津
大津市議会が二月議会での採決を目指している「子どものいじめ防止に関する条例案」について、全教滋賀教職員組合(瀧上正昭執行委員長)は、「子どもや保護者の内面や価値観にまで踏み込み管理の対象にしている」などとして、制定に反対する県内外の署名(昨年十二月二十五日現在・団体百五十四筆、個人四千八百五十七筆)を同市議会の青山三四郎議長宛てに提出した。
署名に添えた書面によると、問題点の一つ目に「子どもたちが、(国連の)『子ども権利条約』の理念に基づいて、権利の主体として尊重され、その権利と自由が保障されるという立場に立たず、子どもや保護者の内面や価値観にまで踏み込み、管理の対象にしている」と批判している。
具体的には条例案で「保護者の責務(第六条)として、『愛情を持ってはぐくまれないといけない』、『…通報しなければならない』などと義務規定になっていること。さらに、子どもの役割(第七条)として『…いじめのない明るい学校生活に努めるとする』『…相談するものとする』とある。苦しんでいる子どもや保護者を役割や責務でしばることではいじめ問題は克服できない。子どもや保護者の苦しみを受け止め支援する施策こそ求められている」と訴えている。
また二つ目に、「市長への権限の集中により市長の意向・価値観に学校教育が左右される仕組みになっている。これでは教育の中立性が保てない」と危惧している。
「第十七条にあるように『市長は…是正指導を行うことができる』など市長の教育現場への直接介入が容易にできるものになっている。また第十五条の『大津の子どもをいじめから守る委員会』は独立機関ではなく、『市長の付属機関』になっており、第三者的な委員会といえるものではない。さらに本条例案には教育委員会の役割を全く位置づけていない。そもそも教育委員会は、戦前の学校教育がその時々の権力からの独立性を保つために設けられた。教育委員会の本来の役割は、市民の学校への願いをもとに、より良い教育条件を整備することにある。しかし、現状の教育委員会は本来のあるべき姿にはなっていない。子ども・市民の声が届くよう、教育委員会に本来の役割を果たさせることが必要」と指摘している。
さらに三つ目については、「第八条二項で『…情報を提供するものとする。』、第九条で『…速やかに市に報告するものとする』、第十二条で『何人も…通報することができる』、第十八条で『…調査等に協力するものとする』など、市民同士の監視や統制にまで発展しかねない」と懸念を示している。
同組合の瀧上委員長は、「法で規制するよりも、少人数学級の実現など教職員が子どもに十分向き合える条件を整備したり、教師・親が子どもに寄り添い、見守れる環境をつくることが必要とされている」と話している。






