中2自殺訴訟の遺族側弁護士・石川氏に聞く
◇大津
昨年十月十一日、大津市の市立中学二年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題は、県警の強制捜査、市の第三者調査委員会の設置などにより、ようやく全容解明の緒に就いた。そこで本紙では、民事訴訟で遺族側の代理人弁護士を務める石川賢治氏(吉原稔法律事務所)に、事件をどう読み取るべきかを聞いてみた。【石川政実、高山周治】
―学校と市教委は男子生徒の自殺直後に実施した全校生徒アンケートを大半が伝聞情報と捉え事実解明に生かさなかったが、アンケートの価値について。
石川 いじめは生徒間で行われるもので、一番知っているのは生徒だ。アンケートは、その生徒自身が書いたものであり、目撃証拠として、かなり価値が高い。学校はアンケートに署名しているか、してないかとか、などで価値のランクづけをしているが、署名していないからと言って、うそが書いてあるわけでない。
―夏休みが明けてから、いじめがエスカレートしていくが、その原因の一つにお金の問題があったのではないか。
石川 大きなポイントになった可能性がある。お金は、一回出してしまったら、「もっとくれ」になる。始めは千円を要求していたのが、一万円、二万円、五万円とエスカレートする。問題は、お金が途切れた時だ。そうなると加害者の生徒らは「なんでや」と逆上して痛めつけ、またお金を持ってこさそうとするからだ。
―アンケートの中の「自殺の練習」には強い憤りを感じるが、今回のいじめで、これはひどいと感じた事例は。
石川 暴行などの肉体的ないじめもさることながら、自殺した少年のテスト結果が黒板に張り出されたり、みんなの前でズボンをずらされるのは、相当こたえたと思う。とくにこのころは女子生徒を意識し始める時期でもある。みんなの前での精神的ないじめは、肉体的ないじめより、ダメージが大きかったはずだ。
―学校が手を打っていれば、少年が亡くならずに済んだというターニングポイントは。
石川 やはりポイントは昨年十月五日だった。ある女子生徒から、「いじめと違いますか」と言う通報が教諭にあって、見に行ったら、ケンカに見えた。その後、五、六人の教諭らが十五分ばかり話し合って、あれは「ケンカ」だと片付けたとされている。女子生徒を呼んでしっかりと聞き、もっと時間をかけて判断すべきだった。
―「いじめは犯罪だ」の声が聞かれる一方で、「警察の介入は教育的配慮から避けるべき」と意見が分かれるが。
石川 いじめは犯罪だ。殴ったり、けったりするのは、大人がやったら暴行罪、けがをさせたら傷害罪になる。十四歳になったら、刑法が適用される。これまで警察に通報するかどうかは、学校のさじ加減で決まっていた。 よく学校は、「教育的配慮が必要」と言うが、それは警察を呼ばなかった言い訳にもなっている。いじめを本気でなくそうと思うなら、教育的配慮だけでなく、警察が入ることも厭(いと)わない毅(き)然とした態度が必要だ。







