識者らが京滋の大飯原発提言に注文
◇全県
関西電力大飯原発3,4号機(福井県)の再稼働に向け、経済産業省の牧野聖修副大臣が二十三日、滋賀県の嘉田由紀子知事と京都府の山田啓二知事を訪ね、理解を求めた。嘉田知事は、政府が両知事の提言を再稼働の前提にしないことへの不快感を示した。そこで焦点になっている提言を市民団体「原発を知る滋賀連絡会」事務局長の池田進氏と元大阪市立大学院教授の畑明郎氏に検証してもらった。【石川政実】
畑氏は「京滋提言の前文(表参照)では、大飯原発から半径三十キロ圏内のUPZに滋賀県の琵琶湖が入るとして『被害地元』を明記しているが、実際は琵琶湖が含まれず、事実に反する(図参照)。どうしても琵琶湖を入れたいなら、半径五十キロ圏内のPPA(注2)に含まれるとすべきだ。また(6)の項目では『福島原発事故を踏まえた対策』とあるが、若狭湾には十四基の原発があり、大地震などがあると、原発が一斉に爆発する過酷事故が起こりかねず、『福島以上の対策』が必要」と指摘する。
池田氏も「提言書は単なる政府への要望書になっており、実務肌の山田知事の意向からか、強い『脱原発』志向が感じ取れない」と不満げだ。
具体的には「(1)の独立性の高い原子力規制庁を早期に設置することは当然だが、これだけでは不十分。福島事故の検証を踏まえて、原子力規制庁で新たな安全基準を策定し、そこで再稼働の是非を判断すべき』とする考えを示す必要があった」としている。
さらに「(3)では、恒久的対策とされる免震事務棟、防波堤などを問題としているが、非常時に必要とされる『ベント』(注3)の言及がないのはどうしたことか。また恒久的対策の工事が完了していないうちに再稼働して、大事故が発生した場合の具体的対処法の説明を求めるべき」と語る。
また「(5)で『脱原発依存の工程表を示すべき』とあるが、両知事から具体的提言を行ってはどうか。たとえば四十年を経過した原子炉に関して期間を限定して廃炉にすることを求めてもよいのでは」と提言。
最後に池田氏は「福井県への謝意が(7)と最後になっているが、これは福井県側が求めている大切な事柄であり、冒頭にすべき」と指摘する。
両氏は、嘉田知事がどこまで脱原発で踏ん張れるか注視していく。
(注1)UPZ=避難や屋外退避など緊急時防護措置準備区域で半径三十キロ圏内
(注2)PPA=ヨウ素剤服用等の対策準備区域で半径五十キロ圏内
(注3)ベント=格納容器や圧力容器の破壊を防ぐ換気弁







