近江米の「冷し団子」
◇湖南・野洲市
滋賀県中小企業団体中央会発行の組合活性化情報誌「中小企業しが六月号」で、野洲市に工場を持つ株式会社図司穀粉が農商工連携のもと近江米で作った“冷し団子”が紹介されている。
京都市の米粉製粉業者である図司穀粉は、約二十五年前、野洲市に滋賀工場を設立した。地方の問屋や菓子屋などにも直接売っていく営業スタイルを取っており、取引ディーラーや直販は北海道から九州まで広範囲に及ぶ。
「うちは粉屋ですが、粉を売るだけでなく提案をする会社なんです」と語るのは図司宏代表取締役。社内に菓子の研究開発を行う部署を設け、季節の変動に応じた製造方法の調整などを提案できるのが同社の強みでもある。
これまでのノウハウの結晶として開発されたのが、菓子屋のニーズから生まれた「冷し団子」。
従来の和菓子に使われる白玉団子は、もち米を原料に水引き(液体化して精製)して作られるため、もち米特有の癖が消え、細かくマイルドになるため、使用時には冷凍保存したものを湯に入れて温め直し、冷水につける手間が必要。また、時間が経ったり、低温になると硬くなし、再冷凍もできないため、飲食店にとっては調理の手間や廃棄のロスがかかる。
「冷しても硬くならず、日持ちする白玉団子はないか」という顧客の声を受け、同社は工場のある野洲市の農業者を連携し、近江米を用いた冷し団子を開発した。
冷し団子は、うるち米をそのまま粉にして製造するため食感がよく、前日より冷蔵庫に入れておくことで解凍され、そのまま冷蔵温度で使用できることから、湯通しして熱を入れる手間も不要。
さらに、解凍後二~三日は硬くならず、クリームやぜんざいと合わせた再冷凍ストックも可能。洋菓子のように冷蔵ケースでカップ販売ができる画期的な商品となった。
これらの特徴は、長年蓄積してきた製菓技術と原材料の適性の賜物。高い保存性のカギは抗菌効果のあるシロップにあり、現在特許申請中とのこと。野洲産日本晴(または滋賀県産日本晴)の生産者である株式会社グリーンちゅうずでも、土壌改良や品質向上を進めており、冷し団子は農商工連携の国認定を受けることとなった。
しかし、量産体制が整っていない現在の課題は製造コスト。農商工連携のもと支援を受けながら機械設備の導入を進め、体制が整い次第、展示会やアンテナショップで反応をリサーチしていくという。
図司代表取締役は「食べもの自体は不変ですが、その機能や食味はどんどん進化します。経営は十年先を見据えながら、新たな開発の余裕を持つことが大事だと思います。これからも相談や提案で得たノウハウを活用していきたいですね」と語る。






