春日北遺跡 10世紀半ばに近江・京都の工人交流
◇湖南・甲賀
財団法人滋賀県文化財保護協会は県道水口竜王線緊急地方道路整備工事に伴って、古代の陶器工房跡とされる春日北遺跡(甲賀市水口町春日)で発掘調査を昨年度から実施しているが、このほど、県道下から新たに平安時代中期の緑釉陶器(りょくゆうとうき)窯跡四基と灰原を確認した、と発表した。
同遺跡からは昨年七―十一月の調査で、丘陵斜面に築かれた緑釉陶器窯跡(一号窯)と灰釉陶器窯跡(二号窯)がそれぞれ一基づつ検出された。緑釉陶器窯跡は良好な形で検出され、現地保存することが決まっている。長さ約二・七メートルの窯は、たきぎを燃やす燃焼室から、一メートルほど高い位置に、製品を窯詰めして焼き上げる焼成室が設けられ、明確な段差があるのが特徴。
今回見つかったのは、いずれも緑釉陶器窯跡で、燃焼室の一部または焼成室の一部しか残っていなかった。このうち六号窯は平面形が三角形になると思われ、二つの焚き口を備える。
この窯は、焼却室の底面に柱を立てて、その上に焼成室の床を張って陶器をあぶり焼く「上げ床構造」だったとみられる。このような構造は、京都府亀岡市の篠窯跡群でしか確認されていないもので、十世紀半ばにおける京都、近江の工人や技術の交流をうかがわせる。






