伊庭の坂下し祭
◇東近江・能登川
重さ四百キロもある神輿(みこし)を断崖絶壁の山腹から引きずり下ろす近江の奇祭の一つ「伊庭の坂下し祭」が四日、東近江市伊庭町の繖(きぬがさ)山で行われた。
二百年以上の歴史を持つこの祭は、重さ三百~四百キロもある三基の神輿「三ノ宮」「八王子」「二の宮」を、中腹にある繖峰三(さんぽうさん)神社からふもとの大鳥居まで若衆らが引きずり下ろす勇壮な神事で、県の無形民俗文化財に指定されている。
この日の正午、わらじ履き姿の若衆たち七十人余りが山頂に集合し、前日に引き上げておいた三基の神輿を約四時間かけて豪快に引き下ろした。
その斜面は標高差約百七十メートル、距離約五百メートル。坂道の途中には、高さ三メートルもの大岩が突き出す「台懸(だいかけ)」などがあり、手に汗握る危険な見せ場となっている。
中でも最大の難所「二本松」は、垂直に近い落差約六メートルの岩場で、慎重に向きを決めた若衆たちは「せーの」の掛け声とともに神輿もろともに滑り下り、固唾をのんで見守っていた観衆から拍手と歓声がわき起こった。
見物に訪れた市内の女性は「地元にいながら初めて見に来ましたが、想像以上の迫力と一致団結の姿に感動しました」と話していた。







