18年度以降、同意、記録なしが88件に上る ペナルティーで介護報酬の減額請求
◇湖南・栗東市
済生会の特別養護老人ホーム「淡海荘」(栗東市出庭、九里美和子・荘長)で、義務付けられている入所者やその家族の同意を取り付けずに身体拘束したケースが平成十八年度以降から八十八件にのぼったため、県では同施設に対し、改善計画の提出や介護報酬の減額請求などの行政指導を行っていたことが滋賀報知新聞の取材でわかった。【石川政実】
淡海荘は、県済生会が昭和四十二年に県下初の特別養護老人ホームとして開設したもので、現在は、入所者が約九十人に上っている。県が昨年七月十六日、同施設の監査を行ったところ、同意を取り付けていない身体拘束三件を現地で確認した。内容的には、“ベッドを柵で囲む”が二件、“車椅子の入所者にY字型拘束ベルトをつける”が一件だった。
このため県では、過去(平成十八年度以降)にさかのぼって、身体拘束を行う際に義務付けられている同意や記録作成が行われなかったケースを調査することや、身体拘束に関する改善計画の提出を求めた。
淡海荘では同年八月二十七日、県に改善計画を提出するとともに、これまで同意なしで、かつ記録のない身体拘束が先の三件を含めて計八十八件に上ることを報告した。
県元気長寿福祉課の橋本弘三・主査は「同意をとらず、必要な記録もとらなかったことが相次いだことについて、淡海荘からは、事務方に介護現場から報告がなかったため、と聞いている」と説明している。
一方、同施設が提出した改善計画は、スタッフの増員や、施設内に設置している身体拘束廃止推進委員会に、初めて荘長(施設長)を参加させる、などの内容になっている。
県は、淡海荘が定められたルールを守らなかったとして、同年九月から十一月分の介護報酬の減額請求をするよう指導した。淡海荘によれば、四十万九千五百円の減額としている。
さらに県は今年三月二十九日、淡海荘に対し「身体拘束改善計画に基づいて今後も万全を期すとともに、身体拘束をしながら同意や必要な記録のないケースがどのくらいあったのか、もう一度、調査をして、四月中に県に報告を求める」との文書指導を行っている。
淡海荘の野村善彦・事務長は「同意なしで身体拘束をした八十八件のうち、四十八件はショートステイ(短期入所)で、例えば家族から車椅子でのずり落ち防止のために家では日常的にベルトをしているので同じような対応を求められた場合、家族らの同意をとらずに安易に身体拘束をしていたケースが多々あった。それが波及し、長期入所者にも同じ対応となってしまった。改善計画提出後は、一件も身体拘束はしていない。今回の反省に立って、万全を期していきたい」と話している。






