県「ろ液分析で不検出、問題なし」 畑明郎教授が反論「全量分析が妥当」
◇湖南・栗東
有害物が地下水へ流出するRD産廃処分場内(栗東市小野)の地下水調査で、環境基準百二倍の総水銀が検出された。県が七月に実施した全量分析によるもので、従来の場内調査で最も高い濃度。しかしその一方で、ろ過後のろ液分析では「不検出」だったとして、「これまでの結果と大幅に異なることはない」と静観している。栗東市の飲み水の七割は地下水に依存し、処分場の下流域には上水道水源地がある。問題解決が長引くなか、飲み水の汚染を危惧する住民は「ろ液分析で過少評価して汚染を隠すのは許せない」と行政不信を募らせている。
【高山周治】
地下水汚染が拡大し、飲み水が汚染された身近な例がある。
守山市の地下水源である立入上水道水源地では、発ガン性物質である四塩化炭素の地下水濃度が平成九年二月から基準値を上回り始め、三年後には水道水基準をも上回った。
これは飲み水を地下水に依存する栗東市にとって、「他山の石」にすべき問題といえよう。というのも、RD産廃処分場の地下水は北西方向へ流れており、下流約三キロ地点には出庭水源地があるからだ。
このような懸念の中、RD処分場内の焼却炉付近の地下水から検出された総水銀は、環境基準(一リットル当たり〇・〇〇〇五ミリグラム)に対して百二倍の〇・〇五一ミリグラムにもなる。
ちなみに全量分析は、採取した検体をそのまま分析するもので、この分析法を妥当とする専門家の意見を受けて、平成十三年の水質調査より採用されている。
一方、全量分析とあわせて実施されているろ液分析は、浮遊物質をろ過して取り除いて、水に溶け込んだ有害物のみ評価するもので、実際より少ない数値で検出されるという。
このろ液分析が有効とする県最終処分場特別対策室は「全量分析は、濃度の変化で地下水の状況が分かるが、処分場内の地下水は通常より重金属を含んだ土壌の濁りが多く、また、粒子(浮遊物質)が地下水層を通過して場外へ出るとは考えられず、試料の濁りをとって分析するろ液分析が地下水の状態に近い」と主張する。
これに対して土壌汚染の第一人者で日本環境学会前会長の畑明郎・大阪市立大学大学院特任教授は「水銀は粒子にくっついて流れるので、全量分析で検査するべき。県は地下水はろ過されたきれいな状態としているが、地下水は濁ったままでも流れる。これまで全量分析で評価してきたのであれば、データに一貫性をもたせるべき」と反論する。
さらに、最高濃度の総水銀検出で「周辺地域の地下水から出る総水銀は、処分場内から流出したものとあらためて立証された。処分場内から高濃度で検出されたダイオキシンを、その後、県が測定していないことも問題だ」と指摘している。






