葛籠尾崎湖底遺跡の調査成果速報
【長浜】 県は10月に実施した葛籠尾崎湖底遺跡(長浜市)の調査で、縄文時代早期前葉から早期中葉初頭(1万1000年前頃~1万500年前頃)の尖底土器をはじめ、古墳時代の土器など数点の遺物を新たに確認したことをこのほど速報として発表した。
同調査は、文化庁の「今年度日本における水中遺跡保護体制の整備充実に関する調査研究事業」を受託した独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所から、県がその一部を受託して行った。
同遺跡は、琵琶湖の北部に突き出た葛籠尾崎半島の周辺水域に位置する。1924年、漁網にかかった様々な時代の土器片が引きあげられて以降、縄文時代から中世に至る土器が数多く引きあげられてきており、遺跡として調査が進められてきたが、水深が深いため湖底の視認が困難なこともあり、遺跡の成因には諸説が挙げられてきた。
今回、県は立命館大学が今年8月に湖底で確認していた土器が集中する場所を含むエリアで同大などと連携し、無人潜水機による湖底スキャナーを実施。湖底写真地図・3Dモデルの作成に成功した。これにより、湖底地形と遺物の散布状況などを把握した結果、きれいな砲弾形で、底が尖った縄文時代のものと見られる尖底土器がほぼ完全な形で湖底に存在していたことが分かった。専門家の分析による時代判定が見立て通りであれば、同遺跡では最古の土器、県内でも3番目に古い遺物を確認したことになる。調査に参加した県文化財保護課では「縄文時代の土器がほぼ完形で湖底に転がっているという、極めてまれな状況」と説明する。
また、古墳時代中期(1500年前頃)と見られる土師器(はじき)6個も確認できた。その内、3個は一列に並ぶように沈んでいることも確認された。同課は「これが地盤沈下などで沈んだものとすると、周囲に集落の遺物が確認できないのは不自然。船に乗せていた荷が、何らかの要因で落下した可能性が考えられる。当時から琵琶湖に船運があった可能性を考える資料になる」としている。さらに、同土師器の一つには紐(ひも)を結わえたような痕跡があり、他の一つには人為的に開けられた可能性のある小さな割れ穴も確認できた他、近くには加工された棒状の木製品が一緒に沈んでいることも確認された。
県では、今年度中に調査の報告書を取りまとめる方針。定例記者会見で新発見を紹介した三日月大造知事は「ロマンを感じる発見だ。歴史を学ぶことは、私たちの今を生きること、未来を見ることにつながる。今後も調査を継続し、保存・管理につなげてきたい」と語った。







