桜本市長の住宅、都計法違反の疑惑
【野洲】 3日に開催された野洲市議会の本会議で「桜本直樹市長が2007年10月に元所有者のN氏から市街化調整区域内の野洲801番地の土地建物を買受けて居住していることは都市計画法(都計法)関連法令に違反している疑いがある」として、百条委員会の設置を求める決議が出されたが、議員の採決で否決された。しかし、桜本氏を巡る5つの疑問は、今も解明されずに残ったままだ。(石川政実)
10年経てば違法住宅でも
市の用途変更許可でOK!
N氏(既に死去)が、桜本氏の妻の父母が役員であるI工務店(草津市)に建築工事を注文した住宅は、07年9月26日に完成した。
ところが桜本氏は完成から1か月後の10月26日、都計法関連法令に基づくN氏の家族用住宅から一般住宅への用途変更の許可を得ないまま、その土地建物をN氏から買受けて同日所有権移転登記をし、自己の住宅として違法に使用していた。
桜本氏は本紙に「住宅地が市街化調整区域にあるのは知っていたが、売買を仲介したY不動産業者(既に死去)から用途変更許可を受けなければ買取りや居住ができないという重要事項説明を受けておらず、知らずに(善意で)購入した」と釈明する。
しかし当時、県職員であった桜本氏がこの土地は市街化調整区域であると認識していたなら、どんな規制がかかっているのか不動産業者に確認するはずなのに、それをしなかったのが1番目の疑問だ。
そもそも不動産業者は、仲介する不動産を桜本氏が購入しても自己の住居に使用できないという重要事項を説明しなかったなら重大な宅地建物取引業法違反となる。仲介業者がそのようなリスクを取ることは考えにくい。
また桜本氏は、びわこ信用保証(株)(びわこ銀行=現・関西みらい銀行=の住宅ローン会社)と07年10月12日付で保証委託契約を締結している。
びわこ信用保証が桜本氏から住宅ローンの融資申し込みを受けて融資を決定するには、同氏の返済能力だけでなく、この物件に関して都計法などの行政法令上の用件も審査したと思われる。融資申込人の桜本氏に対して、市街化調整区域の土地建物を取得していても、住居に使用できる資格があることを証明する資料の提出を求めたはずだ。桜本氏がどのような資料を提出したのか、2番目の疑問である。
また住宅ローンの融資決定には、一定の審査期間を要する。N氏の住宅が完成するより前の時期に、桜本氏は住宅ローンの融資申し込みをしたはずだ。それはN氏がI工務店と建築請負契約をする以前なら、桜本氏の「善意」が怪しくなる。これが3番目の疑問だ。
桜本氏は昨年11月、市のS建築住宅課長を呼んで、自宅の都計法上の問題を確認している。
建築住宅課長は桜本氏に「この住宅は、現状では都計法に違反している。ただし桜本氏の住宅が建築確認を受けて建てられて10年以上経っているなら、桜本氏が自己用住宅に用途変更する許可申請を市にすれば適正化できると説明した」という。
桜本氏は、すでに昨年11月に自宅が都計法違反であるのを知っていたのに、なぜ今年5月9日になって用途変更の許可申請をしたのか、4番目の疑問である。本紙では4月から桜本氏の周辺調査を始めており、これとの関係があったのかもしれない。
さらに建築住宅課長は「昨年11月に桜本氏から呼ばれた際、同氏から不動産業者の説明を受けなかったので家を購入してしまったと聞かされた。今年5月9日に提出された桜本氏による用途変更申請書にも同様の記載があり、これをもって『善意の第三者』と判断して桜本氏への聞き取りは一切しなかった。また用途変更の許可申請書の内容は、市の『都計法に基づく開発許可等の基準に関する条例』や『開発許可制度の取扱基準』に適合しており、用途変更の許可を下ろしたもの」と述べた。用途変更の申請から2週間たらずで、本人への聞き取りも行わず、このような重大案件に対し文書のみの審査で許可を下ろしたことは妥当だったのか、これが5番目の疑問だ。
開発許可などに詳しい専門家(弁護士)の一人は「許可申請された宅地建物は10年以上前に建築基準法に基づき建てられたものであっても、建物完成直後から用途変更許可を受けずに違法に居住してきた場合は野洲市の条例基準に基づき許可することはできないのではないか。少なくとも許可は不適切、不公正だ。市の条例基準は違法状態を適法にするために定められたものではない」との見解を示している。
市街化調整区域内に土地を所有している多くの市民、特に農家は住宅用地に転用して売却できない土地(農地)を営々と守り続けている。桜本市長と市建築住宅課には、この状況をどう受け止めているのかをぜひとも聞きたいところだ。






