桜本・野洲市長が購入した新築の住宅
【野洲】 桜本直樹・野洲市長が住んでいる住宅(野洲市野洲801番地)は、都市計画法で建物の建築や用途変更が制限される市街化調整地域にある。同住宅は、同市野洲192番地に住んでいたN氏(死去)が「自己用住宅」として県から2007年に開発許可を得て、同年9月に完成した。ところが同年10月、N氏は桜本氏に売却し、桜本氏の家族が住むことになる。しかし都計法上は用途変更の許可・届出がないとN氏以外は居住出来ないだけに、かつて県職員でもあった桜本市長はこの18年間、都計法違反の状況で居住を続けていたことが分かった。(石川政実)
桜本市長「不動産業者の説明なく知らなかった」
N氏が新築住宅を1か月後に売却も疑問
表のように2007年1月、N氏が所有していた市街化調整区域の土地(801番地)は、県知事から住宅建設の開発許可が下りる。
市街化調整区域での建設のメニュー(提案基準)はいくつかあるが、N氏は既存集落における「(N氏の)自己用住宅」で開発許可の申請をしたため、許可を受けた人しか使用・居住できない(注=属人性のある)建築物である。このため許可を受けたN氏が第三者に売却するには、用途変更の許可・届出が必要になる。
ただし適法に10年間以上許可を受けたものが居住・使用した場合は一般住宅に変更ができることがある。
ちなみに、この家の建築のために県への開発許可申請から造成、建築を行ったのは、I工務店(草津市)だ。同社役員には、桜本氏の義父(桜本氏の妻の実父)のI・K氏、桜本氏の義母(桜本氏の妻の実母)のI・M氏が名を連ねている。
N氏の家が完成してから1か月後に、用途変更が行われないままN氏から桜本夫妻に売却された。それまで大津市内の県職員住宅で暮らしていた桜本氏の家族は、この家に移り住むことになる。しかしN氏以外の者が用途変更もせずに居住することは、都市計画法に違反する。
●桜本氏5月用途変更
桜本氏は「現在、居住している土地・建物は、地元のY不動産業者(死去)に紹介してもらった物件であり、当時はこの業者から都市計画法に関する説明は一切なかった。そのため、当初建築時の都市計画法上の用途である『(N氏の)自己用住宅』という認識がないまま、住宅として使用してきた」と釈明。
またN氏の家を購入するに当たっては、この家を建築した義父(I・K氏)にも相談したが、義父からも「N氏の自己用住宅」の話は出なかったという。
桜本氏はN氏の建てた家を購入してから約18年が経った今年5月9日、「現在、居住する住宅が都市計画法の基準に適合しないことが分かった」として、市に用途変更の申請を行い、同月22日、桜本夫妻の専用住宅としての許可がおりた。これで晴れて適法に住める住宅になったのだ。
●N氏売却の謎
今回の件では・N氏がなぜ新築した家を一か月後に売却したのか・Y不動産業者は、物件がN氏の自己用住宅である説明を桜本氏にしなかった理由―などの謎が残る。
桜本氏の義母(I・M氏)は「うちのI工務店がN氏(施主)の所有する801番地の土地に家を建築したが、建物が完成するころになって、N氏は息子さんたち(3人)から『親(N夫妻)とは一緒に住めない』と言われ、大変ショックを受けて、新築した家を手放したと聞いている」と語った。
しかし、N氏の次男(M氏、守山市)と親しい友人によれば「N氏の次男のM氏は、父親が『野洲に家を建てて一緒に住まないか』と息子たち3人に話したことは一度もない。後日話してくれたのは、所有していた801番地の畑を売ったということだけだと述べていた」と話す。
世間には、名義貸しをして不正な開発に協力する悪質な売主も中にはいるが、前述の友人は「実直なN氏がそのようなことは絶対にしない」とM氏の話を聞き確信したという。
桜本氏の現在の家・土地は、今年5月の用途変更によって18年間に及ぶ違法な状況が解消されたが、道義的な責任は依然として残っており、市議会などで説明責任を果たすべきだろう。
桜本氏は本紙に「隠すことなどないので、要請があれば、いつでも説明する」と話した。
(注)属人性=市街化調整区域において、特定の人の属性(例=特定の地域に居住していること)に基づいて特例的に建築許可が出された建築物に備わる性質







